ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを開発、提供するQlikは米国時間5月10~12日にオンラインイベント「QlikWorldオンライン2021」を開催。日本法人のクリックテック・ジャパンは5月12日にオンライン記者説明会を開催。イベントの概要と“最高データ責任者”の役割を説明した。
クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 今井浩氏
クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 今井浩氏は2021年の投資領域として「リアルタイムのデータ取得とデータ更新を分析に反映させ、アクションにつながるAI(人工知能)主導型のインサイト、ビジネス全体でインサイトを活用した強化機能」に注力する。
Qlikを全社展開したホンダ
グローバルで5万人以上の顧客にサービスを提供しているが、QlikWorldオンライン2021基調講演の要旨として、顧客事例が披露された。今井氏の説明によれば、製薬大手のNovartis Internationalは以下のように活用しているという。
「10年前からQlikViewを使用していたが、ExcelやTableau、SAP BusinessObjects、IBM Cognosなど各BI系ツールの利用経験を経て、Qlik Senseで標準化した。現在3万人以上の財務系やサプライチェーン系など主要業務領域で、500以上のQlik Senseアプリケーションを利用。営業部門はQlikのデータで理論武装して会議に参加し、利益拡大に貢献している」
国内企業としてはホンダ(本田技研工業)の事例を披露。「400以上の事業企業で構成し、20万人以上の従業員が在籍するホンダグループでは、当初は個々の部門で利用するシャドーITとしてQlik(のソリューション)を導入していたが、全社レベルで新たなビジネス価値の創出を目指すため、全社展開に至った」(今井氏)
スイスを本拠地とする金融コングロマリットのCredit Suisseも「2020年に大型投資を決断し、データアプローチの刷新と先鋭化を目的に、IBMではなくQlikのデータ統合プラットフォームを採用」(今井氏)している。
データ活用に成功するための要点として今井氏は、「1つはデータ統合。適切に収集、統合できているか。2つめは従来型のデータ分析基盤を使っている。データアナリストが意識的にアクセスするのではなく、(分析結果を)能動的に提示するソリューションが必要。3つめはデータ活用能力。個人や組織としてデータを活用する方法やデータ駆動型の企業文化が必要」と3点を掲げた。
部門単位で進められているデータ分析
データ分析基盤の活用例は増えつつあるものの、国内のデータ活用は遅々と進まない。総務省が2018年7月に発表した「2018年版情報通信白書」によれば、最高デジタル責任者などを設置する日本企業は5%にとどまる。デル・テクノロジーズの第1回デジタルトランスフォーメーション動向調査によれば、2019年時点でも最高デジタル責任者の設置率は5.6%だった。