オブザーバビリティーが変えるCX

ブラウザーテスト自動化はユーザー体験第一印象の鍵

国本明善 (Datadog Japan)

2021-07-19 07:00

 ここ最近の地方自治体における新型コロナウイルスワクチン接種予約サイトへのアクセス集中のような突発的なインターネットトラフィックの急増を、昨今では多くの企業が経験しています。このような局面に当たっては、カスタマーエクスペリエンス(CX)を注意深く監視し、最適化していくことが重要です。

 皆さんが eコマースでオフィス用品を販売する会社を経営していて、トラフィックの急増に対処していると想像してみてください。在宅勤務の増加に伴い、自社の製品に対する需要が大幅に増加しています。しかし、お客さまが購入を完了しようとした時にボタンが動作しなかったり、ページがロードされなかったりするなどの致命的なエラーが発生し、さらに、これが経営上最も重要な時間帯に、何百人もの顧客に対して同時に発生しているとすると、収益の損失、顧客が二度と利用しない可能性、ソーシャルメディア上での炎上など、誰もが避けたい状況であることは明らかです。

 しかし、これはある意味避けることができない課題です。ウェブページは、さまざまな画像、フォント、スタイルシート、ローカルのJavaScriptコード、バックエンドへの非同期リクエストなどで構成され、大きくて複雑なものです。私たちはウェブサイトがどれだけ多くのスクリプトで構成されているかを忘れがちであり、そして、どのように小さな変更でも、ページ全体のパフォーマンスにバタフライ効果(わずかな変化が後に大きな事象を引き起こしかねないこと)をもたらす可能性があることを忘れてはいけません。

 ユーザーは実際にウェブサイト上で何を見て、何を体験しているのでしょうか。バックエンドで変更が加えられた場合はどうなるのでしょうか。「購入」ボタンが突然消えているようなことはないでしょうか。全て正常に動作しているでしょうか。アプリケーションがユーザーに対してどのように動作するかを理解するために、企業はウェブブラウザーを介したユーザーエクスペリエンス(UX)をモニターする必要があります。これは多くの場合、個々のオンラインアプリケーションの可用性と機能を手動でチェックすることを意味します。

 これらの潜在的な問題を把握し特定することは、厄介なプロセスであるだけでなく、時間のかかる作業です。特にトラフィックが増加した新しいデジタルビジネスの時代には、テレワークやeコマースの時代に経験したように、全てのデジタル体験の継続的な見直しが不可欠です。顧客の第一印象は非常に重要であり、ページが読み込まれない場合やボタンが動作しない場合、長年のお客さまであってもほかに移ってしまう可能性があります。インターネット上にはたくさんの選択肢があるため、お客さまが自社のビジネスに見切りをつけて競合他社を試すリスクは避けられません。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  2. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  5. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]