ここ最近の地方自治体における新型コロナウイルスワクチン接種予約サイトへのアクセス集中のような突発的なインターネットトラフィックの急増を、昨今では多くの企業が経験しています。このような局面に当たっては、カスタマーエクスペリエンス(CX)を注意深く監視し、最適化していくことが重要です。
皆さんが eコマースでオフィス用品を販売する会社を経営していて、トラフィックの急増に対処していると想像してみてください。在宅勤務の増加に伴い、自社の製品に対する需要が大幅に増加しています。しかし、お客さまが購入を完了しようとした時にボタンが動作しなかったり、ページがロードされなかったりするなどの致命的なエラーが発生し、さらに、これが経営上最も重要な時間帯に、何百人もの顧客に対して同時に発生しているとすると、収益の損失、顧客が二度と利用しない可能性、ソーシャルメディア上での炎上など、誰もが避けたい状況であることは明らかです。
しかし、これはある意味避けることができない課題です。ウェブページは、さまざまな画像、フォント、スタイルシート、ローカルのJavaScriptコード、バックエンドへの非同期リクエストなどで構成され、大きくて複雑なものです。私たちはウェブサイトがどれだけ多くのスクリプトで構成されているかを忘れがちであり、そして、どのように小さな変更でも、ページ全体のパフォーマンスにバタフライ効果(わずかな変化が後に大きな事象を引き起こしかねないこと)をもたらす可能性があることを忘れてはいけません。
ユーザーは実際にウェブサイト上で何を見て、何を体験しているのでしょうか。バックエンドで変更が加えられた場合はどうなるのでしょうか。「購入」ボタンが突然消えているようなことはないでしょうか。全て正常に動作しているでしょうか。アプリケーションがユーザーに対してどのように動作するかを理解するために、企業はウェブブラウザーを介したユーザーエクスペリエンス(UX)をモニターする必要があります。これは多くの場合、個々のオンラインアプリケーションの可用性と機能を手動でチェックすることを意味します。
これらの潜在的な問題を把握し特定することは、厄介なプロセスであるだけでなく、時間のかかる作業です。特にトラフィックが増加した新しいデジタルビジネスの時代には、テレワークやeコマースの時代に経験したように、全てのデジタル体験の継続的な見直しが不可欠です。顧客の第一印象は非常に重要であり、ページが読み込まれない場合やボタンが動作しない場合、長年のお客さまであってもほかに移ってしまう可能性があります。インターネット上にはたくさんの選択肢があるため、お客さまが自社のビジネスに見切りをつけて競合他社を試すリスクは避けられません。