キヤノンと日本IBMは、ボリュメトリックビデオ技術を活用した芸術/芸能分野における新たな価値の創出に向けて、協業を開始した。
ボリュメトリックビデオ技術とは、空間全体を3Dデータ化する技術。コンピューターの中に作り上げられたバーチャル空間内のあらゆるアングルから映像を生成できる。
キヤノンでは、2019年のラグビー国際大会などのスポーツ分野で活用を始め、2020年7月には同社川崎事業所内に「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」を開設し、エンターテインメント分野にも活用の幅を広げている。
協業の第一弾として、宝生会監修の能楽「葵上」のボリュメトリック映像を公開した。この映像の制作で、キヤノンは実在する能楽堂をスキャンして計測した3DCGや、ダイナミックな背景CGアニメーションの制作に加え、能楽師のパフォーマンスを「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」でキャプチャーし、全体を統合する映像生成までを一貫して行った。

「葵上」のボリュメトリック映像イメージ(出典:日本IBM)
日本IBMは、先進の並列計算専用サーバー「IBM Power System AC922」と広帯域ストレージ「IBM Elastic Storage System」を組み合わせた高速インフラの構築や技術支援により、リアルタイムの映像描写に必要な応答性能を実現した。
今後キヤノンは、撮影とほぼ同時に高精細な映像を生成するボリュメトリックビデオ技術により、新たな映像制作手法や視聴体験を提供するとともに、映像による貴重な芸術文化の伝承に寄与する。日本IBMは芸術領域における知見と経験を生かして、芸術/芸能関連事業者に向けた戦略策定や実行支援などコンサルティングサービスを提供し、芸術/芸能分野のDX(デジタル変革)を推進する。