オリンパスは、工場内での新型コロナウイルス感染者と濃厚接触者の接触の履歴追跡を無線機器などを使って行う対策システムを日本で初めて構築した。これを提供したマクニカネットワークスが発表した。
オリンパスでは感染症防止対策の徹底に努めているが、中でもコロナ禍において医療機器の修理サービスを止めないことが命題であり、修理センターの操業を停止させないための強固な対策の導入を検討していたという。
修理センターは製造工場と同様にテレワークの全面導入が困難であり、従業員の現場作業が発生している。通常時は、ソーシャルディスタンスを確保して作業しているが、作業内容により打ち合わせや教育・指導、相談のために近い距離での会話が避けられないほか、職場以外での感染リスクも排除できない。
万一感染者や濃厚接触者が確認された場合に、修理センター内における接触状況を客観的に計測する方法がなく、記憶に基づいたあいまいな情報で接触対象者の絞り込みをせざるを得なかったという。海外の修理センターでは、感染者が確認された際にライン全体を停止させて修理作業に影響が出たことから、対象者の絞り込みを迅速かつ正確に、作業への影響を最小化させる対策が喫緊の課題だったとしている。
導入した対策システムは、フランスのActility製のLoRaWAN/Bluetooth Low Energy対応小型端末を用いて接触状況をモニタリングする。専用端末を従業員が装着し、端末間で無線通信を活用した独自アルゴリズムを使って距離と接触時間を計測し、濃厚接触の基準値を超えるとアラートがクラウド上の集中管理アプリケーションに送信される。管理アプリでは全端末の接触アラート状態を表示、記録し、データを日時で検索したり、CSVファイルで出力したりできる。
新型コロナウイルス感染の濃厚接触対策システムの概要(出典:マクニカネットワークス)
専用端末と装着イメージ(出典:マクニカネットワークス)
オリンパスは、この対策システムを2つの修理センターで運用し、数百人規模の接触状況をモニタリングしている。従業員は業務開始時に端末を胸元に装着し、業務終了まで装着したまま作業を行う。実際に従業員で濃厚接触が疑われる ケースが発生した時には、このシステムで該当者の工場内での濃厚接触者を迅速に割り出すことができたという。