米国防総省、「数日先」の異変検知にAI活用へ--テスト実施

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-08-04 16:05

 米軍は、最先端のデータ収集ツールと人工知能(AI)を組み合わせて、最大で数日前に敵の動きを予測するシステムの実験を行っている。

GIDE was designed to increase access to real-time information that can help leaders prepare for enemy action and hopefully deter it, rather than react to conflict once it has started.
提供:US Air Force / Tommy Grimes

 米北方軍(NORTHCOM)のGlen VanHerck司令官は記者会見で、米軍は重要な戦略的意思決定を下す際のデータの使い方を改善する試みを進めており、「Global Information Dominance Experiment」(GIDE)と呼ばれる演習の第3回で有望な結果が得られたことを明らかにした。

 GIDEは、指導者が紛争が始まってから対応するのではなく、敵の行動に事前に備え、可能であれば抑止できるようにすることを目的として、リアルタイムの情報へのアクセスを容易にするシステムの実証実験を行う演習だ。

 敵がどんなことを準備しているかについて事前に知ることができれば、指揮官は、紛争を抑止するための部隊の配備といった措置を取ることができる。

 この技術では、米軍がすでに持っている衛星やレーダー、海中センサーから得られる情報や、サイバー能力や諜報能力で得られた情報をリアルタイムでとりまとめ、クラウド上のAIモデルで処理する。

 VanHerck氏は、数日前に把握できるようになることで、「作戦指揮官である私が、戦力配置を整えて抑止のための選択肢を作り、国防長官や大統領に提示することができる可能性がある」と述べている。

 同氏は、これらの情報は現在も入手可能なものばかりだが、現在は専門のアナリストが日々生成されている大量のデータを調べて、重要な情報を発見するまでに数時間から数日の時間がかかっていると語った。

 VanHerck氏によれば、この試みで使用されているアルゴリズムは、敵地の駐車場にある車両の数や、駐機場に置かれている航空機の数の変化や、発射準備に入っているミサイルなどについて速やかに警告を発することができるという。

 ただし同氏は、機械が選択肢を与えてくれることはあるが、意思決定を行うのは人間であり、機械に決定を下させることはないと強調している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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