人工知能(AI)分野の新興企業であるOpenAIは米国時間8月10日、自然言語をコードに変換し、コードの自動生成を可能にするAIシステム「OpenAI Codex」のプライベートベータ版をリリースしたと発表した。OpenAIはカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置いており、Microsoftなどから支援を受けている。
OpenAIはウェブサイトのブログ記事で、「OpenAI Codexのプライベートベータ版を、われわれのAPIを通じて利用できるようにした。私たちは、安全なかたちでできる限り迅速に規模を拡大することを目指している」としている。
ブログには、「APIを通じてOpenAI Codexをベースに開発する企業や開発者を招待する」として、順番待ちリストに登録できるリンクが掲載されている。氏名と電子メールアドレス、GitHubのプロフィール、利用目的などを入力できる。
「当面の間、OpenAI Codexは無料で利用できる。OpenAIは今後も、『GPT-3』で築き上げた安全な基盤上で構築を続けていく。つまり、われわれのテクノロジーが世界に及ぼす影響を理解するために開発者と密接に協力しながら、アプリケーションを審査し、段階的に規模を拡大していく」(OpenAI)
GPT-3、すなわちOpenAIによる自己回帰型自然言語モデル「Generative Pre-trained Transformer」のバージョン3は2020年に世界に向けて公開された。この言語モデルは、人間が書いたかのような質の記事を丸ごと生成できる。単語の組み合わせの可能性に関する確率の予測などに基づいている。
Codexは、6月に発表されたMicrosoftの「GitHub CoPilot」でも採用されているテクノロジーだ。
OpenAIは今回の発表でOpenAI Codexを実行したデモをいくつか示している。このプログラムは、「Print Hello World」(Hello Worldと出力する)というプロンプト入力を受け、そのためのコードを生成する。また、「Now say it with feeling!」(今度は感情を込めて!)という入力を受け、「Hello, World!!!」、すなわち文末に感嘆符が付いた文を出力するコードを生成する。
プログラムの使用例は他にも複数示されており、「Now display 5 such windows with 10 buttons, all at once.」(今度は、10個のボタンがある同様のウィンドウを5つ、すべて同時に表示する)と入力すると、画面上に複数のウィンドウを表示するコードが生成されるものなどがある。
これらの他にもライター向けのより興味深い例として、Lewis Carrollによる詩「ジャバウォックの詩(Jabberwocky)」のテキストを題材にし、「Delete all initial spaces」(行頭の空白をすべて取り除く)といった、人間が入力したフレーズでテキストを再フォーマットするというものもある。また、「Prepend everything with L the line number than a colon」(すべての行の先頭にLと行番号、その後に[thenの間違い]コロンを付加する)と記述すると、「than」というつづりの間違いがあるにもかかわらず、このプログラムは詩の各行に行番号を付加してくれる。
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またあるデモでは、コンピューターゲームをゼロから開発させている。このゲームはAtariの「アステロイド」を単純化したようなものであり、プログラマーは「Once the player reaches 250 points, they win! (1) Clear the document, (2) Tell them how long it took in seconds, in green."」(プレーヤーが250点を獲得すれば勝ち!(1)ドキュメントをクリアする、(2)何秒かかったかを緑色で表示する)といったかたちで宣言的な文章を記述し、プログラムを作成していくことができる。
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Codexに関する公式論文は7月、Arxivで公開されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。