「CentOS Linux」の開発元であるRed Hatが「CentOS Linuxの開発方針を変更し、『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版ではなく、最新版RHELの少し先を先行する『CentOS Stream』の開発に重心を移していく」と発表した際、多くのCentOSユーザーは憤慨した。こうした状況を受け、商用のCentOSディストリビューターであるCloudLinuxは、CentOSの代替となるRHELクローン「Lenix」の開発を発表した。そしてこの法人向けLinuxは現在、「AlmaLinux」という新たな名称の下、複数の市場で利用可能となっている。
こういった商用展開における最新の動きとして、AlmaLinuxは「Azure Marketplace」から入手可能になった。このOSのイメージはGen1とGen2の双方で利用可能となっており、「Microsoft Azure」のポータルから配備することができる。また、マーケットプレイスのリンクからだけでなく、Azureのコマンドラインユーティリティーから起動し、稼働させることもできる。AlmaLinuxを利用するためのコストは無料だ。
現在、多くのLinuxディストリビューションがクラウドで無料で利用できるようになっているのは言うまでもない。しかし、企業ユーザーにとってAlmaLinuxは、他の多くのディストリビューションよりも魅力的なものとなっている。その理由は、開発元のCloudLinuxが2009年以来、マルチテナント型のウェブ/サーバーホスティング企業向けに、カスタマイズされた、高性能かつ軽量のRHEL/CentOSサーバーのクローンを提供しているためだ。
もちろん、CentOSも引き続き利用可能だ。しかし現在のCentOSの位置付けは、かつてとはまったく異なっている。つまり、CentOS Streamという新たなモデルはRHELのクローンではなく、開発者向けとして、現在のRHELバージョンに少し先行するものとなっている。
さらに、AlmaLinuxは新たな製品であるものの、「RHEL 8.3」と1対1でのバイナリー互換性を有したフォークになっている。また、AlmaLinuxは今後もRHELのリリースと歩調を合わせていくとされている。さらに、「RHEL 8.x」や「CentOS 8.x」「Oracle Linux 8.x」などからの移行手順も利用可能になっている。要するに、普及していたものの、今や位置付けが変わってしまったCentOSディストリビューションに代わって、本番ワークロードにすぐに使える安定したLinuxが必要だという場合、AlmaLinuxをおいて他の選択肢はないといえるかもしれない。
AlmaLinuxの開発グループは、Azureで動作する新たなAlmaLinuxイメージに加えて、使用しているAzureリージョンに関係なくこのOSのインストールやアップデートを容易にするという目的で、Azureリージョン内のグローバルなミラーネットワークを整備した。すべてのアップデートやソフトウェアのインストールはローカルのAzureミラーを透過的かつ自動的に使用するようになる。AlmaLinuxは現在、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloudでも利用可能になっている。
また、AlmaLinuxに対する商用サポートも提供されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。