Linuxに精通したシステム管理者は長年、「CentOS Linux」を愛用していた。なぜなら、どうしても必要な場合を除き、サポート費用を支払うことなく「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の良さをフルに享受できたからだ。そして今、CloudLinuxが、「CentOS」の代替OSとなる同社の「AlmaLinux」を対象に、複数のサポートオプションを提供している。
AlmaLinuxは米国時間3月30日に、一般提供が開始された。「RHEL 8.3」と1対1のバイナリー互換性があるフォークとなる。今後は、RHELの将来的なリリースと歩調を合わせていく。「RHEL 8.x」「CentOS 8.x」「Oracle Linux 8.x」を対象とする移行手順も公開されている。
もちろん、CentOSも引き続き利用できる。しかし今後は、これまでと同じような形のRHELのクローンではなくなる。新しい「CentOS Stream」が、RHELのクローンではなく、RHEL現行版の少し先を行く開発者向けリリースとなる。
CloudLinuxは5月より、AlmaLinux OS向けに複数のサポートオプションを提供する。これには、Linuxのカーネルとコアパッケージの定期的なパッチとアップデート、パッチ配信のサービスレベル契約(SLA)、年中24時間体制のインシデントサポートが含まれる。
AlmaLinuxのコミュニティは既に、Linuxカーネルとコアパッケージのパッチやアップデートなど、これらの要素の一部を提供している。しかし企業にとって、コミュニティの善意に頼るのと、確かなサポート契約とでは決定的な違いがある。
CloudLinuxは、通常のLinuxのサポートサービスのほか、より高度なサービスを必要とする企業向けにプレミアムサポートを用意する計画だ。ベンダーやOEMが商用製品やサービスを支えるノードOSとしてAlmaLinuxの利用を計画している場合など、そのニーズに応じたサポートも提供する考えだ。
AlmaLinuxのコミュニティマネジャーのJack Aboutboul氏は、「立ち上げ以来、私たちはコミュニティと多くの商用ベンダーの双方から、非常に大きな関心と支持を得ており、多くがAlmaLinux OSを非常に驚くべきユースケースで利用し始めている」とし、「スタート以来、成長著しい私たちのコミュニティは相互にサポートし合っている。そのようなことから、組織で急速に導入されるようになり、商用サポートの要望につながった」とコメントした。
さらにAboutboul氏は、5月1日時点で「ISOのダウンロード数が2万1000件を上回っている。これには、変換スクリプトを使用してRHEL/CentOSからAlmaにアップグレードした数千人のユーザーは含まれていない」と述べた。まったく新しい企業向けのオペレーティングシステムとしては、驚くべき数値といえるだろう。
また、同社はAlmaLinuxのサポート以外にも、AlmaLinuxの次期リリースとなる「AlmaLinux 8.4」に、コミュニティと共同で取り組んでいる。4月末に、「AlmaLinux OS 8.4 Beta」が入手可能になったと発表している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。