エネルギー事業大手のGeneral Electric(GE)は、IBMのスーパーコンピューター「Summit」のコンピューティング時間を使用する権利が与えられた2つの研究プロジェクトに関する詳細な情報を発表した。
米エネルギー省(DoE)はスーパーコンピューター「Summit」の700万時間に上る計算ノード時間の使用権を20の研究チームに授与した。
提供:IBM
これら2つのプロジェクトはそれぞれ、よりクリーンな電力を生み出すことを目的とした研究を進めるために、世界で最もパワフルなスーパーコンピューターの1つであるSummitを活用するという。
米エネルギー省(DoE)は7月、オークリッジ国立研究所(ORNL)に設置しているSummitの使用権を20の研究チームに授与した。そのうちの2つのチームはGE Researchに所属している。なお、20の研究チームに与えられた計算ノード時間は合計すると700万時間に上る。
IBMによって構築されたSummitは、日本の「富岳」に次いで世界で2番目にパワフルなスーパーコンピューターだ。科学者らはこのスーパーコンピューターを利用することで、物理学上の複雑な系に関する振る舞いをシミュレートしたり、問題を解決するための大規模な計算処理を実行できるようになる。
GEは今回、DoEによってSummitの使用権が与えられた2つのプロジェクトの詳細を発表した。これらはいずれも、再生可能エネルギーの生成に伴う課題に取り組むものだ。
1つ目は、GE Researchの研究者であるJing Li氏の率いる、海上風力発電分野の研究の進展に向けた研究であり、24万ノード時間が与えられた。Li氏はSummitを用いることで、発電量の最適化に向け、海上に設置されたタービンの新たな制御/運用方法を研究するための複雑なシミュレーションを実行できるようになると考えている。
具体的には、Li氏のチームは沿岸地域の下層ジェット気流として知られる風の現象を研究する予定だ。この現象は多くの沿岸で発生し、海上の風力タービンのパフォーマンスと信頼性に影響を与え得る。高信頼性計算モデルのおかげで、研究者らは集合型風力発電所と沿岸地域の下層ジェット気流の間の相互作用をシミュレートし、こうした発電所における今後の効率的なデザインについてアドバイスできるようになる。