「Linux」の生みの親であるLinux Torvalds氏は、開発の最終週を「厄介な不測の事態なしに」終えた後、安定版である「Linux 5.18」を発表した。
いつものように、Torvalds氏は日曜日(現地時間5月22日)の夜にLinuxカーネルの最新安定版を発表した。Linux 5.18は予定通り、前の安定版である「Linux 5.17」のリリースから約2カ月後に登場し、「Linux 5.19」のマージウィンドウが開いた。
Torvalds氏は、Linux 5.18に関して人々をわくわくさせることをほとんど言わなかったが、それでも開発者にLinux 5.18を実行することを薦めた。
「マージウィンドウで多くの刺激的な新機能に着手する前に、チェックするという目的のためだけに、退屈で地味な5.18を実行してほしい」(Torvalds氏)
それでも、「さまざまなドライバーの更新」や「そのほかの小規模なアーキテクチャーの修正、コアネットワーキングやツールに関連する変更」があった。
最終週にTorvalds氏を驚かせることは1つも起きなかったが、Linux 5.18には最終的にIntelの「Software Defined Silicon」(SDSi)ドライバーが搭載された。これにより、購入者がライセンス料金を支払った場合に、Intelはすでに販売済みのCPUの機能を後から有効化できるようになる。
LinuxニュースサイトのPhoronixは過去8カ月にわたって、IntelのSDSiドライバーの開発を注視してきた。このドライバーにより、ユーザーがライセンス料金を支払った場合に、IntelはCPU内に元々存在していた機能を後から有効化できるようになる。
IntelのLinuxソフトウェアエンジニアのDavid Box氏は2021年9月のLinuxカーネルメーリングリストで、SDSiについて、「製造後に追加のCPU機能を有効化するための仕組みであり、それらの機能はライセンスアクティベーションプロセスを通して有効化される」と説明した。
Intelは、SDSiについて説明したGitHubドキュメントも投稿している。それによると、SDSiをサポートする「Xeon」プロセッサーでは、「ライセンスアクティベーションプロセスを通して、追加のCPU機能を設定することができる」という。SDSiドライバーは、アプリケーションが「認証キー証明書」をプロビジョニングするためのインターフェースを提供する。認証キー証明書は、メモリーに書き込まれ、「機能アクティベーションペイロード」の認証に使用される。その後、トークンがCPUに適用され、機能が有効化される。
IntelのドライバーがLinux 5.18に受け入れられた2022年2月にPhoronixが指摘したように(そして、IntelのGitHubドキュメントが示唆しているように)、SDSiは今後登場するサーバーおよびワークステーション向けプロセッサーに限定される可能性もある。例えば、Intelはソフトウェアのアップグレードを使用して、CPU機能をデータセンターやそのほかのワークロードに合わせて調整することができるだろう。オンラインマガジンのLWN.netの創設者兼編集長であるJonathan Corbet氏によると、ソフトウェアで定義されたプロセッサーのメリットはIntelにとって明白だが、購入者にとっては不明確だという。
Intelは2021年10月、The Registerへの声明の中で、「将来の製品で使用できるコードをLinuxカーネルに定期的に提出している」と述べ、将来の製品でこの機能を実装する計画がある場合はもっと詳しく説明する、と言い添えた。
今回のリリースに関するPhoronixのまとめ記事によると、Linux 5.18はSDSiのほかにも、IntelとAMDのチップを対象とするCPUおよびグラフィックス関連の多数の更新、Teslaの「Full Self Driving」(FSD)SoCのサポート、「Raspberry Pi Zero 2 W」のサポートを提供するという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。