アイテック阪急阪神、阪神電気鉄道(阪神電鉄)、阪神ケーブルエンジニアリングおよびNECは、鉄道事業のより安全・安心かつ効率的な運営の実現を目指し、阪神本線でローカル5Gおよび人工知能(AI)画像認識などを活用した実証実験を開始する。
同実証は2023年1~2月で実施され。場所は阪神本線の西宮駅~芦屋駅区間内の駅ホームや踏切、御影駅周辺およ走行中試運転列車内を予定する。
課題実証
課題実証内容としては、(1)地上カメラとAI画像認識を用いた事故の未然防止、(2)車地上間における車内映像などのリアルタイムな情報連携、(3)車上カメラとAI画像認識を用いた日常巡視点検の省人化――がある。
(1)では、AI画像認識により踏切や駅ホームなどで発生した危険を検知し、ローカル5Gで瞬時に列車乗務員などへ通知するとともに、現地でスピーカーによって注意喚起を行うことで事故の未然防止に努める。
(2)では、ローカル5Gで車内防犯カメラの映像などをリアルタイムに地上係員および乗務員と共有することで緊急時の対応を早め、乗客の安全確保に貢献する。
(3)では、列車前方に搭載したカメラの映像からAI画像認識によって設備の異常などを自動的に検知する。これにより日々の巡視点検に係る保守作業員の負荷軽減、省人化の実現をめざす。
技術実証(ローカル5G Sub6帯のカバーエリア)
阪急阪神ホールディングスグループでは、2021年度に阪神電車武庫川線においてローカル5GやAIの活用に向けた基礎検証を実施した。2022年度は前年度の基礎検証の発展として、車地上間通信を基盤としたシステムを新たに開発し、運行管理システムなどの既存システムとの連携試験や現場での試行を実施する。これにより、安全対策の高度化や設備点検業務の省人化などに係る有効性評価、課題抽出及び将来実装に向けた具体的な検討(課題実証)を行う。
ローカル5GはSub6帯の電波を利用し、阪神本線の一部区間(西宮駅~芦屋駅、御影駅周辺)をカバーするように環境を構築し、鉄道線路上における電波伝搬や線路外への電波漏えい抑制手法に関する技術的検証(技術実証)を実施する。
各社の役割として、アイテック阪急阪神は全体統括とシステムの開発、構築を担当する。阪神電鉄は課題実証の統括、検証と実験フィールドの提供を担当、阪神ケーブルエンジニアリングは、技術実証の統括、検証、ローカル5G環境の構築を担う。NECはローカル5G機器の調達、設計、技術実証の支援を行う。
なお、実験時のカメラ撮影に関する告知については、実験実施場所(撮影場所)において、撮影中である旨の掲示を行う。また、個人情報(撮影された映像など)については、個人情報保護方針に則り厳重に取り扱う。個人情報の保存期間(予定)は2023年3月31日までで、個人情報の取得主体はアイテック阪急阪神とする。個人情報の第三者提供については、警察等捜査関係者から要請があった場合を除き行わない。一部の映像解析業務は、実験関係者へ委託する。