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5Gやエッジコンピューティング注力、メタバースに関心--デルの飯塚CTO

大河原克行

2022-10-21 06:00

 デル・テクノロジーズは、未来を創造する重点技術として5Gやエッジコンピューティングなどの6領域を設定し、積極的に投資していくという。最高技術責任者(CTO)の飯塚力哉氏は、「日本で6領域は全て重要だが特に5Gやエッジ」と語る。一方で、新たに発表した「ブレイクスルー調査」にも触れ、「デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する日本企業の認識は欧米並みになったが、実行や成功の点ではまだ課題」とも指摘したほか、同社のメタバースに関する方向性にも初めて触れた。飯塚氏に話を聞いた。

デル・テクノロジーズ 最高技術責任者の飯塚力哉氏
デル・テクノロジーズ 最高技術責任者の飯塚力哉氏

--「ブレイクスルー調査」の狙いは?

 この調査は、世界40以上の国・地域の企業の上級意思決定者、IT意思決定者、DXに関与するナレッジワーカーを対象に、1万500人(日本は300人)の回答を得たものです。約半分がワーカーで、現場の状況や意見が反映された調査結果です。これまで「Digital Transformation Index」というDX実態把握調査もしていますが、今回は「ブレイクスルー調査」と名付けて、調査目的を変えています。

 当社は「人とテクノロジーが交差する場所で飛躍的なイノベーションが実現される」と考えています。テクノロジーをビジネスにつなげるには、人の力が大きく影響しています。テクノロジーと人との接点をいかにブレイクスルーするのかという意味を込め、この名前にしました。人とテクノロジーの接点で今は何が課題か、何が障壁で何が必要か。浮き彫りにしています。

--どんな結果ですか。

 組織文化が従業員のイノベーション能力を制限していると考えている回答者が世界で60%、日本では59%です。企業は従業員のイノベーション能力をもっと活用すべきだといえます。また、データ主導型企業になる機会を逃してしまうことを心配している回答者が世界で51%、日本では43%に達しています。組織がサイバー攻撃にさらされる可能性がさらに高まると考えている回答者が世界で72%、日本で75%です。

 調査結果を4点に要約しました。イノベーションを追求し、テクノロジーの変化を先導している「Sprint(先行者)」が世界では10%、日本では3%です。グローバルでもDX先行者が10%にとどまっているのが実態です。また、他社が導入したテクノロジーの変革を採用する体制がある「Steady(安定)」は世界が43%、日本は39%。採用を控え様子見/熟考する傾向がある「Slow(様子見)」の企業は世界が42%、日本は48%です。既知のリスクを根拠に問題が発生すると考え提案されたテクノロジーイノベーションに抵抗する傾向がある「Still(消極的)」は世界が5%、日本で9%でした。全体的に世界とアジア太平洋・日本の差は、それほど大きくはないでしょう。

--それは日本にとって安心できる結果ですか。

 違うかもしれません。日本のDXの取り組みは、まだ浅い段階です。前回調査(2020年)は、経営層や意思決定者にDXの進展状況やDXが進展しない理由、今後の投資計画を尋ね、世界と日本の差が大きく出ていました。

 話を聞くとお客さまは、世界と日本企業の間に大きなギャップがあり、今も状況が同じだと考えています。そのギャップを解消するための努力が必要であり、欧米の先行的な取り組み事例を日本のお客さまに伝え、どんなテクノロジーが必要で、それをどう活用するのか、何からDXを進めるのかといったことを提案していかなくてはならないと思っています。

 一方今回の調査では、テクノロジーだけでなく、「人」の要素が強く、現場でどう考えているのか、現場で何が問題かにも焦点を当てており、世界と日本との間に差がないという結果が出たといえます。

 政府からもデジタル化やDXに対する発信が増え、課題解決にデジタルを活用する必要があることが日本に広がっています。コロナ禍で働き方が変わり、そこにもデジタルが活用され、自分事としてデジタルの重要性を感じている人も多いでしょう。課題認識し、そこにテクノロジーを活用しなくてはいけないという意識や危機感については、もはや世界と同じ水準で、日本だけ遅れている状況ではありません。ただ、意識する一方、取り組みが本格化したり成果を出したりしていないというのが正直な感想です。日本企業は実行領域でブレイクスルーをしていく必要があるでしょう。

--日本企業がテクノロジーと人によるブレイクスルーをするには何が必要ですか。

 「接続環境」「生産性」「共感」が大切です。接続環境は社員がいつでもどこでもより良い接続性、コラボレーション環境、場所の平等性を持ち、シームレスで安全な働き方を実現することが必要です。従業員がどこで仕事をしているのかに関係なく一貫した安全な体験を提供しなくてはなりません。

 生産性は最新技術の活用が前提です。テクノロジーツールを提供し、従業員の能力を補完、強化することで、従業員が最高の力を発揮することに集中できるようにします。繰り返し作業は機械に任せ、社員が最も得意とすることに集中させ、人間的で、生産性が高い職場を実現しなくてはなりません。そして、共感の点では、その文化と真のリーダーシップを確立し、従業員のやる気を高めることです。人間を、創造性と価値を最大化する源泉と捉え、それを推進するための企業文化を確立しなければなりません。リーダーシップがますます重要になります。

 今回の調査では、リーダーシップに関する設問で、「リーダーがスタッフを軽視している」と主張する従業員の割合が世界で34%、日本は19%でした。これは、見方を変えれば、日本ではイノベーションの源泉として人間が大切にされていることだといえます。

 しかし、お客さまから直接話を聞くと、そこまで行っていないように感じています。リーダーシップにとって、現場と話をし、その意見を吸い上げることは大切です。「人は企業にとって最大のビジネス資産」と語る企業は多いですが、実際のところ現場で個々人が信頼され、評価されていると感じているわけではありません。今回の調査結果でこのギャップが日本では少ないといえますが、私は結果に満足せず注意しておきたい要素だと思っています。

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