人工知能(AI)を活用したテクノロジーは、アート界で物議を醸しているだけではなく、別の業界にも旋風を巻き起こしている。その業界とはファーストフード業界だ。AIを活用したテクノロジーはかなり前からレストランで用いられてきており、顧客エクスペリエンスの向上や、店舗の運営にかかる経費の管理に役立てられている。
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そして今、AIを活用したボイスボット(AI音声自動応答サービス)が顧客の注文を取るようになろうとしている。
Taco Bellの親会社であるYum! Brandsは最近、ドライブスルーで注文を取る、AI駆動の会話型ボットをテストしていると明らかにした。Business Insiderによると、このAIボイスボットは「注文プロセスを自動化する可能性」の追求に向けて同チェーンを支援できるという。
また2022年4月と8月には、PopeyesとPanera Breadがそれぞれ、AIを活用したドライブスルー向け音声アシスタントを手掛ける新興企業OpenCityとの提携を発表している。「Tori」という名前のこの音声アシスタントを用いることで、注文をより正確に処理したり、顧客が注文を手にするまでの時間を短縮したり、売り上げを伸ばしたりできるようになるとされている。
Toriを使っているPopeyesのある店舗では、飲み物の販売数が150%増加したという。また、ToriとレストランのPOSや売店のシステムを同期させることで、レストランのオーナーは従業員を注文の聞き取りや、その伝達から解放できるようになる。
注文後、顧客はドライブスルーの窓口にまで進み商品を受け取ることになる。OpenCityによると注文は100%正確に処理されているという。
ファーストフードレストランでは既に、ToriのようなAIボイスボット以外のテクノロジーも用いられている。Toriは顧客が来店時に最初に接する「従業員」だが、レストランにおけるその他のロボットは調理や清掃、食事のサーブを担当している。
飲食業界におけるロボティクスとAIは、レストラン業界の労働力不足を解決するために生み出されたソリューションだ。
レストラン業界でのAI利用には、AIを活用した画像認識システムによってドライブスルーの運用効率を監視するというものもある。Plainsightといった企業は、ドライブスルーの長い列を目にした顧客があきらめて立ち去ることによる売り上げの喪失を軽減するために利用できるサービスを提供している。
Starbucksは、2011年に自社モバイルアプリの提供を開始した結果、AIの導入による金銭的価値を実感するに至った。同社はこのアプリの普及に伴い、自社のAI駆動のマネジメントシステム「Deep Brew」の統合を実施した。その結果、顧客へのレコメンデーションをパーソナライズしたり、従業員が抱えている時間のかかる作業をなくしたり、新製品開発に役立つデータを収集したりできるようになった。
AIはまた、レストランの廃棄物削減にも力を貸すことができる。廃棄物の削減は食品コストの低減と、食品廃棄物がもたらす環境負荷の低減につながる。Winnowといった企業は、レストランにおける食品廃棄物の削減を支援するために、AIを活用したソフトウェアを提供している。
同社が開発したのは「Winnow Vision」という厨房(ちゅうぼう)ツールだ。このツールは、どのような食品が廃棄されているのかを監視し、そのデータを自動的に収集するようになっている。そしてこういったデータから、1日を通じてどの食品がどの程度廃棄されているかを厨房のスタッフに通知する。同社によると、Winnow Visionは完全な自動化を目指しており、最終的には食品の廃棄を最大70%削減するようになるという。
ロボティクスとAIは、ほとんどの人が考えているよりもはるかに、飲食業界で活用されるようになっている。ただこうしたツールは、現実の問題の解決に役立つ一方で、人間の労働力をいかに簡単に置き換えられるかという点に目を向けると、懸念を呼ぶものだと言えるかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。