KDDIとKDDI総合研究所は11月4日から、KDDIが開発する健康アプリ「ポケットヘルスケア」と「Apple Watch」を組み合わせて、不整脈の一種である心房細動の早期発見を目指す実証研究を実施している。両社が12月28日に発表した。同実証は約1000人を対象としており、参加者を募集している。
Apple Watchでは、2021年1月に日本で医療機器として承認されたプログラムを用いることで、心電図や不規則な心拍を測定できる。これにより、心疾患患者に発生しやすい傾向がある「心房細動」の兆候を検知することが可能となる。心房細動を示唆する結果が出た場合は、医療機関を受診することで早期の治療につながると期待されるが、さまざまな理由で心房細動の早期発見/治療に至らないケースも存在するという。
KDDIとKDDI総合研究所は、2021年度に心房細動の早期発見・早期治療を目指し、ポケットヘルスケアとApple Watchを組み合わせたフェーズ1の実証研究を実施した。この成果を踏まえ、新たに開発を加えたサービスの実証研究(フェーズ2)を今回行う。両社は同実証の成果を踏まえ、心房細動の早期発見/治療につながるサービスの開発に取り組むとしている。
ポケットヘルスケアの利用イメージ
2021年12月~2022年2月に実施されたフェーズ1では、ポケットヘルスケアでApple Watchの心電図や心拍の計測結果を取得し、心房細動が検出された場合には、その結果を医者がアプリ上で確認できるようにした。また、心房細動が検出された参加者がアプリから提携先の医療機関のオンライン診療を申し込める導線を構築。412人の参加者がポケットヘルスケアのインストールと定期的な心電図の測定を行った結果、20人から心房細動が検出され、うち5人がオンライン診療を受診したという。
2022年11月~2023年2月に実施する予定のフェーズ2では、フェーズ1の成果を踏まえて、参加者が設定した時間に心電図計測を促す「定期アラーム」、参加者の活動量などを基にアプリが心電図計測を促す「追加アラーム」、心電図計測を含む日々の健康活動に基づいてポイントを提供する「インセンティブ」の機能を搭載する。
また、提携先医療機関などからの協力を得て、心房細動に関する情報を提供するほか、2021年度に続きオンライン診療の提供も行う。両社はフェーズ1よりも多くの人々に長い期間利用してもらうことで、心電図測定の適切なタイミングの見極めや、心房細動検出時の早期受診を促す手法の研究に取り組むとしている。
フェーズ2の全体像