CTCと三重県工業研究所、AI活用した陶磁器の材料開発で実証実験

藤本和彦 (編集部)

2023-01-12 13:37

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と三重県工業研究所窯業研究室は、人工知能(AI)を用いた陶磁器の材料開発について、2022年8月に実証実験を開始している。12月からはAIモデルの改善にも着手しており、陶磁器製造に関する各種データを基に、耐熱性や吸水率など機能性の向上のための最適な原料配合や焼成条件を探索するモデルの作成を目指している。

 三重県は土鍋などの耐熱陶器や急須、花瓶などの花器の国内有数の産地で、国産土鍋では国内シェア80%を誇る。三重県工業研究所窯業研究室は、窯業の原材料の試験研究や製品のデザイン開発、技術支援・人材育成に取り組んでいる。

 陶磁器製造において、原料配合や温度などの焼成条件は、産地の特性や長年の経験、試行錯誤によって決められていた。また、原材料の高騰や枯渇などの影響もあり、原料の効率的な消費や代替原料などが求められているという。

 そこで、CTCはAIを活用し、窯業研究室の研究テーマでもある陶磁器の機能性向上を目的とした、原料配合や焼成条件の最適化や代替原料の発見を目指す。AIモデルを作成するため、過去の実験で求められた原料配合や焼成条件・性能を入力し、化学成分などを含めた整理を行う。作成したAIモデルから、原料を効率的に利用し耐熱性や吸水率などの機能性をさらに向上させる条件を探索する。

 また、AIで求められた条件で陶磁器を作製して意図した結果になるかを検証し、さらに新しいデータを加えることによってAIモデルの精度を向上させ、材料開発に有用なAIモデルの開発を目指す。今後は、土鍋などの耐熱陶器にも利用可能な材料の探索も実施する予定としている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]