日立、2022年度通期業績見通しを上方修正--第3四半期は増収

大河原克行

2023-02-02 06:00

 日立製作所が2月1日に発表した2022年度第3四半期(2022年4月~12月)の連結業績は、社会イノベーション事業の力強い成長を裏づける内容となった。売上収益は前年同期比10.4%増の8兆1087億円、調整後営業利益は同8.9%増の5274億円、Adjusted EBITA は同8.5%増の6242億円、税引き前利益は同23.0%減の4568億円、当期純利益は同34.2%減の2922億円となった。

決算説明を行った執行役副社長兼CFOの河村芳彦氏(中央)
決算説明を行った執行役副社長兼CFOの河村芳彦氏(中央)

 説明を行った執行役副社長兼CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は、「厳しい経営環境の中でも第3四半期は予定通りの収益を上げられ、まあまあの決算ができたと思う」としながら、「為替の影響や顧客の投資増加およびGlobalLogicの買収効果などで売上収益が2桁増収となった。また、デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティを中心に受注が堅調」とした。

 デジタルシステム&サービスの第3四半期受注高は前年同期比22%増の6513億円を達成し、グリーンエナジー&モビリティでは、日立エナジーがカナダ・ケベック州と米国・ニューヨーク州の交流送電網を連系するHVDC(高圧直流送電)変換設備、鉄道システム事業でカナダの地下鉄オンタリオ線向けの車両・鉄道システムを受注しているという。日立エナジーの受注残高は約2兆5000億円で、年間売上高の約2倍。鉄道システム事業の受注残高は約3兆9000億円となり、年間売上高の5倍以上にまで積み上がっている。

2022年度第3四半期の各事業の概況 2022年度第3四半期の各事業の概況
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 なお、最終利益の減益は、リスク分担型企業年金制度への移行影響や、日立エナジーにおけるのれんの減損による営業外損益の減少が影響した。

 今回の業績からもLumadaの力強い成長が浮き彫りになった。Lumada事業の売上収益は前年同期比51%増の1兆3610億円、Adjusted EBITA率は約13%となった。Lumadaの内訳は、マネージドサービスが同25%増の4370億円、コネクテッドプロダクトが同78%増の4530億円、システムインテグレーションが同41%増の3130億円で、GlobalLogicの買収効果が大きいデジタルエンジニアリングは売上収益が同108%増の1580億円と高い成長を遂げている。

 Lumada事業の通期見通しは、売上収益を前年比36%増の1兆9000億円、マネージドサービスは前年同期比13%増の5700億円、コネクテッドプロダクトは同64%増の6600億円、システムインテグレーションは同28%増の4700億円、デジタルエンジニアリングは売上収益が同68%増の2000億円としている。

Lumada事業の状況 Lumada事業の状況
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 河村氏は、「Lumadaの通期見通しは、さらに上振れのチャンスがある」としながら、日立エナジーでは、Hitachi VantaraやGlobalLogicと共同開発した資産管理ソフトウェアを海外大手電力会社に納入した。日立デジタルを含む社内連携の推進によって、二酸化炭素の可視化などESG(環境、社会、統制)ソリューションを開発しており、鉄道システム事業や日立エナジーで実証を予定しているという。

 さらにGlobalLogicは、Hitachi Vantaraとのクロスセルが好調で、クラウドアプリケーション運用の高度化などの協業を推進しているほか、GlobalLogicの開発手法を国内のプロジェクトに適用して、開発スピードや柔軟性、拡張性を強化している。また、ルーマニアおよびウルグアイのデジタルエンジニアリング企業2社を買収し、デリバリー拠点を拡充していることも示した。第3四半期には、北米を中心としたITハイテク企業などで、16の新規顧客を獲得したという。

 GlobalLogicの第3四半期(2022年10~12月)業績は、売上収益が前年同期比46%増の548億円、Adjusted EBITAが37億円増の121億円。EBITDAマージンも22.1%となっている。なお、GlobalLogicはウクライナに拠点があるが、ロシアによる侵攻での事業への影響は極小化できていると説明した。

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