日立製作所は9月7日、サステナブル(持続可能な)経営の推進に向けて、ESG(環境、社会、社内統治)データの収集・可視化・分析を効率化する新サービス「ESGマネジメントサポートサービス」を発売した。
近年、企業におけるESGを考慮したサステナブル経営の高まりやESG投資の拡大に伴い、投資家に対してESG情報の開示が重要となっている。一方で、ESGデータの収集に当たっては、人手による作業が多いほか、部門や国ごとに異なるデータ形式での取り扱い、部門の統廃合時のデータ統一やESG開示テーマの変化への迅速な対応が求められるなど、作業負荷の大きさが課題となっている。
ESGマネジメントサポートサービスの概要
新サービスは、サステナブル経営に向けてESGデータを収集・可視化する機能をクラウド環境で提供する。各部署との連携を容易にするアカウント統合機能も備え、部署やプロジェクト単位で契約可能なため、全社単位での大規模な構築・導入をせずとも、「工場における温室効果ガスの削減を進めたい」というようなスモールスタートも可能となっている。
メールやExcelなど既存の仕組みを活用したESGデータの入力・管理ツールを提供する。収集したい情報の定義作成から、依頼メールの一斉送信、収集先における必要項目の入力・返送など、データの収集・管理を手間なく実施できるという。各部署から収集したファイルは自動でデータベースに取り込まれ、業務ごとに集計・一元管理されるほか、収集データを活用できる。
サービスの特徴
収集状況に応じて、回答データの不備を自動で検出してアイコンで可視化したり、未回答者にリマインドを定期的に自動通知したりすることもできる。組織情報と連携することで、組織変更や人事異動時にも迅速に対応する。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールで収集データが部署・経年・施策別に可視化される。例えば、二酸化炭素(CO2)削減量・安全衛生・知的財産といったサステナブル経営に求められる各種項目を選択すると、現状と経年推移など一覧で表示できるほか、各数値の増減要因などの定性情報も把握できる。あらかじめ目標値を設定し、実績値と比較することで、ESG施策の見極めや進行状況の把握などを行い、経営判断や追加施策の検討につなげられるという。
なお、今回のサービス提供に先がけ、日立建機において安全衛生をテーマに実証実験を行い、リスクアセスメントに必要となるデータの収集において約34%の作業工数削減を達成するなどの効果を確認した。日立建機では、一連の実証を経て、2022年8月に同社の安全衛生部でサービスの稼働を開始している。