「ChatGPT」は2022年11月下旬のリリース以来、世界中を魅了してきた。このチャットボットは高度な人工知能(AI)機能により、エッセイや電子メール、詩の作成、コードの記述とデバッグ、さらには試験への合格など、さまざまなタスクを完全に単独で実行できる。人間がすることをチャットボットが瞬く間に非常にうまくできるようになった今、未来にどのような影響があるのだろうか。
ChatGPTとチャットする機会があった人は、おそらくその理解力と会話形式での応答能力に感銘を受けたことだろう。しかし、他にも非常に多くの能力があり、その専門的な能力は日々テストされている。
すでにChatGPTによって期待や慣習に変化が生じている分野としては、コーディングなどのスキルを必要とする専門分野だけでなく、教育分野もある。警鐘を鳴らす人もいれば、ChatGPTの進歩を冷静に受け止めている人もいるが、テクノロジーアナリストはまだ、このツールがどのような変化をもたらすかを評価している段階だ。
たとえば、ペンシルベニア大学ウォートンビジネススクールの教授は、ChatGPTを使用してMBAの試験を受けたところ、BからB-のスコアで合格し、その説明と運用管理の能力に目を見張った。
ミネソタ大学ロースクールの教授たちは、ChatGPTにロースクールの4種類の最終試験を受けさせた後、その答案を実際の学生の答案と混ぜて、ブラインド採点した。ホワイトペーパーによると、ChatGPTは平均スコアC+で合格したという。これは学生のスコアの中では低い方だが、ボットのスコアとしては印象的だ。
「このような言語モデルは将来的に、開業弁護士にとって重要なツールになるだろう。また、ロースクールの試験でそれらを(合法的または不正に)使用する学生にとって、大きな助けになるはずだ」とミネソタ大学ロースクールの教授はこの実験に関するホワイトペーパーに書いている。
ChatGPTの能力のテストが続けられる中で、人々がChatGPTに対して抱く最大の懸念の1つは、教育システムへの影響だ。ChatGPTに高度な専門的能力があるなら、人間が特定のスキルを習得するのが時代遅れになるのだろうか。ChatGPTを使って代わりに勉強させようという誘惑のために、学校であまり学ばなくなるのだろうか。
米国の学校はすでに、教室でそうしたカンニングや手抜きに歯止めをかける対策を講じている。たとえば、ニューヨーク市教育局は、生徒と教師によるChatGPTへのアクセスを同局のネットワーク上でブロックした。
この問題は高等教育にも波及しており、教授たちがChatGPTの使用に関する規則をシラバスに記載するようになっている。AIをどう扱うかは教授によって異なり、完全に禁止する人もいれば、かなりオープンなアプローチを取る人もいる。
ウォートンの准教授であるEthan Mollick氏は、ChatGPTに関する自身のシラバスのポリシーをLinkedInで公開した。同氏は学生がChatGPTを学習に取り入れることを認めている。「まだ答えの出ていない問題が(AIには)多いが、議論を歓迎すべきだ。これらのツールの責任ある使い方を教えなければならない」(Mollick氏)
ありふれたツールの1つにすぎないのか
GartnerのクラウドサービスおよびテクノロジーアナリストであるSid Nag氏によると、ジェネレーティブAI技術を採用することで、実際には学生の教育が豊かなものになる可能性があるという。