矢野経済研究所は、国内民間企業を対象に、ERPおよびCRM、SFAにおけるクラウド基盤利用状況に関する調査結果を発表した。2022年時点で導入率が大きく伸びていることが分かった
業務アプリケーションのシステム基盤でのパブリッククラウド利用率
これによると、2020年の前回調査時のパブリッククラウド利用率と比較すると、財務・会計では2020年の8.9%から2022年は17.9%に、人事・給与では9.0%から20.7%に、販売管理では5.9%から15.2%に、生産管理・サプライチェーン管理(SCM)で5.1%から13.0%に、CRMおよびSFAで16.1%から32.1%となり、各領域での業務アプリケーションのシステム基盤としてSaaS利用率が大きく伸びていることが判明した。
この調査は2022年6~10月に実施され、509件の回答を得ている。
今回の結果について同研究所は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の機運の高まりにより、業務アプリケーションへの投資意欲がコロナ禍にあっても衰えることなく堅調だとした。特にERPは導入後10~20年も経過し、老朽化したシステムを使い続けているケースが多く、DX推進のためにレガシーシステムからのリプレース需要が拡大しているという。一方でCRMおよびSFAは、ERPより導入時期が新しく、DXにおけるデータ活用や事業強化を目的として、戦略的に新しいシステムを導入する企業が増えているとした。
また、ITベンダーから提供されているサービスの種類が多い財務・会計や人事・給与といったバックオフィス系のシステムではSaaSの利用率が高まっているとし、今後、業務アプリケーションは、システム基盤、アプリケーションの両面で「クラウドファースト」での利用が進んでいくと予測している。