日産自動車は、Works Human Intelligence(WHI)が提供する統合人事システム「COMPANY」とワークスビジネスサービスのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスを導入した。これにより、年末調整の98%をペーパーレス化するなど業務効率化を図っている。WHIが3月23日に発表した。
日産は、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を支える人事戦略の1つとして人事業務の効果性、効率性の向上を掲げ、利便性の高い人事サービスの提供や人事業務の効率化を推進している。ビジネスがグローバルに展開していく中では、ビジネスを支える人材も多様化しており、働きやすい環境構築と従業員満足度の向上を目指した人事制度や業務の在り方の見直しや改善の継続は、欠かせないものとなっている。
そうした中で、給与業務は常に正しく行うことに加え、環境の多様さや変化を踏まえた見直しや改善など、経営や従業員のニーズに迅速、確実に応えていく必要がある。その一方で、従来の給与システムでは、そうした業務構築が年々難しくなってきていた。また、環境負荷低減と従業員満足度の向上との両立を目指す中で、給与明細や年末調整をはじめとした人事・給与業務におけるペーパーレス化も大きな課題となっていた。
これを解決するため、COMPANYを活用したアウトソーシングによる、人事・給与業務の効率化、標準化を目的に、ワークスビジネスサービスのBPOサービスを採用。さらに、現在だけでなく将来的に発生するさまざまな課題に対しても、柔軟で迅速な対応を継続していくことを目指して、WHIが提供する「COMPANY 人事・給与」「COMPANY Web Service」「CWSスマートデバイスオプション」を活用している。
主な導入効果としては、日産ではこれまで毎年、従業員3万人の年末調整を紙で実施しており、書類の配布や提出、システムへの転記などを手作業で行うことによって高い業務負荷が発生していた。これが、COMPANYの導入によって1万5000人がPCで、1万4400人がスマートフォンで申請可能となり、大幅な業務効率化とペーパーレス化を実現。従業員の利便性も向上した。
情報システム領域では、戦略課題の1つとして基幹システムのモダナイズに取り組んでいる。しかし、従来の給与システムはメインフレームで運用されており、長い歴史の中でドキュメントやノウハウが失われていたため、モダナイズに当たって必要な指標が集められない状況にあったという。そのような状況でクラウドサービスを活用するBPOに可能性を見いだし、従業員サービスの向上と「持たざるIT」の両面を実現できたとのこと。これからも、現在の業務の見直しや時代に適合した新たな業務の構築にチャレンジしていきたいとしている。