インテル、次世代CPU「Meteor Lake」の概要を説明--2023年後半に登場予定

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2023-05-30 14:20

 OpenAIの「ChatGPT」や、Microsoftの「Bing」、Googleの「Bard」、Adobeの「Photoshop」など、今一番世間の注目を集めている人工知能(AI)ツールは、どれも強力で高価なサーバーが大量に置かれたデータセンターで動いている。しかし、米国時間5月29日にIntelが明らかにしたPC向け次世代プロセッサー「Meteor Lake」が導入されれば、ノートPCがAI革命の一端を担うようになるかもしれない。

Meteor Lakeプロセッサー
提供:Intel

 2023年後半に登場する予定のMeteor Lakeは、AIの処理を低い電力消費で扱えるAIエンジン(VPU)を搭載している。IntelのクライアントAI事業責任者John Rayfield氏は、例えばこのチップは、ビデオ会議中に背景をぼかしたり入れ替えたりする際に人物の輪郭を認識するAIの動作を改善できると語った。

 「物を作れば用途は後からついてくる」という可能性もある。スマートフォン用のプロセッサーやAppleの「MacBook」に使われているMシリーズプロセッサーの場合がそうだったように、AIエンジンをプロセッサーに直接組み込めば、開発者がAI機能を利用したソフトウェアを開発するようになるかもしれない。

 しかし、GPUもAI処理のアクセラレーションに非常に適しており、しかもすでにほとんどのPCに搭載されているため、ユーザーの多くが「Windows」PCをアップグレードするのを待たなくても利用できる。しかもGPUは、PCを使ったAIの処理で高いパフォーマンスを発揮する。しかしRayfield氏は、Intelの新しいAIエンジンには消費電力が低いという強みがあると主張した。また、両方を同時に使用することで、さらにパフォーマンスを高めることもできるという。

Meteor LakeはIntelにとって重要なチップ

 IntelにとってMeteor Lakeが重要な理由はほかにもある。Meteor Lakeは、AppleのMシリーズプロセッサーに対する最大の弱点である、省電力性能を改善する設計になっているのだ。また、ゲームや一部のAIの処理で重要になるグラフィックスの処理性能も改善された。

 またこのプロセッサーは、Intelの数年にわたる方向転換の取り組みの鍵でもある。Meteor Lakeは、チップ製造業界をリードする企業である台湾積体電路製造(TSMC)やサムスンに追いつくために必要不可欠な新しい製造プロセスである、「Intel 4」で製造される最初の大型チップになるためだ。またこのチップには、複数の「チップレット」をより柔軟かつ経済的にスタッキングすることで強力なプロセッサを作る技術である、「Foveros」と呼ばれる新しい3Dパッケージング技術が使われている。

 最近では、リアルな画像や人間が書いたような文章を生成できる生成AIと呼ばれるAIが注目を集めている。Meteor Lakeは、生成AIの1つである「Stable Diffusion」を実行できるが、ChatGPTのような大規模な言語モデルは大きすぎて扱うことができない。

 しかし、その状況を変えるための取り組みも数多く行われている。Facebookの「LLaMA」やGoogleの「PaLM 2」などの大規模言語モデルは、PCやスマートフォンのような小規模な「クライアント」デバイス向けにスケールダウンできるよう設計されている。

 Rayfield氏は、「クラウドで実行するAIには(中略)、遅延、プライバシー、セキュリティなどの課題がある上、基本的にコストが高い」と述べている。「いずれ計算効率が向上してくれば、クライアントに移される部分が増えてくるだろう」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]