大林組は、「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)の開催に向けて建設工事が進んでいる夢洲(ゆめしま)の建設現場に顔認証システムを本格導入した。システムを提供するパナソニック コネクトが7月11日に発表した。
同システムを用いて、2025年2月末までの工事期間で工事エリアに入退場する原則全ての建設作業員と工事関係者の顔認証を実施する。なお、ピーク時には1日5000人以上の利用を想定している。現場での顔認証の様子
パナソニック コネクトの顔認証システムは、40年以上に渡るカメラの画像処理で培った画像を鮮明にする技術と、顔の特徴を学習するディープラーニング技術を活用している。2022年11月6日に公開された米国立標準技術研究所(NIST)のベンチ―マークテストでは、世界1位の評価を得たという。
顔の向きや経年変化、メガネ・マスクなどにも影響されにくく、これまでにも空港での厳格かつ円滑な本人確認や、アミューズメントパークでのチケットレス入退場、店舗でのキャッシュレス決済、オフィスでのICカードレス入退室などで、同社の顔認証技術を応用したシステムが展開されている。
システム構成
大林組は工事の統括施工管理者として、自社施工範囲だけでなく工事全体のセキュリティ管理を求められている。顔認証を本格導入することにより、工事全体の効率的な管理と確実な当人認証を両立させ、建設作業員にとってもヘルメットやマスクを装着しながらスムーズな現場への入退場を可能にした。
現場の建設作業員に入退場での顔認証について感想を聞いたところ、9割が顔認証をスムーズにできたと回答。ヘルメットをしたままでも認証可能であることも高評価だった。また、今後の要望として、昼休憩時の食事における顔認証決済や紙で行っているレンタル品の受渡し時の本人確認など入退場以外での顔認証の用途拡充も挙げられているという。