野村総合研究所(NRI)は1月26日、生成AIを活用した業務改革やビジネスモデル変革などの経営改革を行う企業を支援する「AIコンサルティング」サービスを発表した。2023年12月からサービスの提供を開始している。
OpenAIが「ChatGPT」のサービスを開始して以来、生成AIは社会の注目を集めている。NRIが2023年10月に実施したアンケートでも、約12%の人が生成AIを「現在使用中」または「トライアル中」と回答していた。生成AIを安全に活用するためのシステム環境や情報基盤を整えている企業も多くなっている。また、Retrieval Augmented Generation(RAG)と呼ばれる手法を用いて企業内のドキュメントから必要な情報を取得して回答を生成するプロセス自体を自動化し、ヘルプデスク業務の改善に役立てるなどの業務改革も試行されている。
しかし、生成AIの技術進化が急速で、個々の改革の試行や推進だけでなく、取り組み全体の企画、優先順位づけ、ケースの共有、予算組みやロードマップの設定に課題を持つ企業が増えている。このような状況では、自社ビジネスの変革シナリオの構築や技術革新のモニタリングが重要となっている。
NRIのAIコンサルティングサービスは、生成AIだけでなく、データサイエンスやデジタル技術、NRIのチェンジマネジメントのノウハウを活用し、総合的な業務改革やビジネスモデル改革といった経営改革の実現を目的としている。
具体的なサービス内容は、「AI CoE(Center of Excellence)との伴走」「AIビジネスモデル変革」「AI業務改革」「AI基盤整備」になる。
図:「AIコンサルティング」サービスのメニュー
AI CoEとの伴走では、AIを活用した経営改革全体のチェンジマネジメントを、経営の直下に置かれることの多いCoEと共に支援する。特に、改革のロードマップの策定・管理、社内SNSなどを活用した組織内でのナレッジ集約、AIに関する人材の可視化と育成支援を実施する。
AIビジネスモデル変革は、AIが発展・浸透することによる業界のビジネスモデル変革、非連続的な成長や破壊のシナリオを策定する。また、それに対して企業が取り得る戦略も立案する。AIを活用したビジネスモデルの変革推進は自社にとどまらないことが多いため、さまざまなステークホルダーを巻き込んだ事業変革推進を支援するとしている。
AI業務改革では、営業・研究開発・人事・IT関連など、さまざまな業務での効率化や高度化の可能性を模索し、業務改革の概念実証(PoC)を通じて業務改革の推進を実施。システムの構想を作った上で、その開発・実装を推進する。
AI基盤整備では、AI特有のガバナンスに必要なポリシーやルール、ツールなどを整備する。また、活用するデータについても、データの量ではなく生成AIが活用しやすい質に注目した「Goodデータ」という概念で、これまでとは異なる品質での蓄積と活用を行うこととし、その仕組みの整備を支援する。