生成AIはIT関係者が活用の圧力を最も感じている技術だが、IT組織の10分の9はAI関連プロジェクトの需要の高まりに対応できていない。調査によると、生成AIの迅速な導入をいちばん要求している関係者は最高幹部だ。一方、IT専門職の5人に3人近くは、新しい技術を実装するスピードと敏捷性にビジネス関係者が過度に期待していると述べている。またIT専門職の88%は、組織で受け取るAI関係の要求の洪水には対応できないと主張している。
企業は現在、零細企業も含めて規模の大小を問わず、AIソリューションの実装に追われている。会社が大きくなると、統合やデータのサイロ化といった技術的な課題も大きくなり、AIの配備計画は加速が難しくなる。ITリーダーの90%は、AIとほかのシステムの統合が大変だと述べている。
企業はAIを導入して活用すべしという圧力は、IT部門に限った話ではない。従業員が生成AIソリューションをどのように使っていいのか、新しいポリシーの変更や新たなポリシーの策定も強く求められている。HR(人材)の専門家は今、これまで以上に会社のAI利用ポリシーの明確化に追われている。
HRリーダーが企業にAIを導入する可能性に対処する際に直面する問題を把握するため、調査会社のValoirは、世界のさまざまな業界と規模の企業に務めるHR幹部150人以上を対象に調査を実施した。主な知見を以下に挙げる。
- 現在HRがAIの恩恵を受けるチャンスが特に大きいのは、人員採用、学習・人材開発(L&D)、および人材管理だが、これらはリスクがとりわけ大きい分野でもある。
- 現在、25%近くの組織が人員採用になんらかの形で生成AIを導入しており、人員採用は現時点でAI導入の先導分野になっている。加えて30%が人員採用への2年以内のAI導入を計画しており、現在、HRでAI導入が進んでいるのは圧倒的に人員採用だ。
- HRリーダーが考えるAI導入の主な障害は、AIに関する専門知識の欠如(26%)、コンプライアンスとリスクに対する恐怖(23%)、リソースや資金の不足(21%)となっている。
HRにおけるAI導入は拡大している。Valoirの調査によると、人員採用における課題については、50%の企業が現在AIを使っているか2年以内の活用を計画している。人材管理と研修・人材開発がわずかな差でこれに続く。
また、Valoirの調査によると、生成AI利用のポリシーがある組織はわずか16%で、AI利用の倫理ポリシーがある組織となるとさらに少なくなる。AIの効果的な運用の研修ポリシーを導入しているところはわずか14%で、AIに取って代わられるかもしれない労働者のための研修・人材開発プログラムを導入しているところはわずか8%だ。
Valoirでは、HRが信頼できるベンダーと技術を選ぶだけでなく、HRスタッフと一般従業員の双方に向けて、適切なポリシー、手続き、保護措置、研修を導入することを推奨している。HR部門は、こうしたポリシーと研修を社内のHRチームと一般従業員の双方にいかに伝えるかを考えることが必要になる。
提供:Bloom Productions/Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。