米Adobeは現地時間6月6日、2024年3月開催の「Adobe Summit」でプレビューとして公開された「Adobe Experience Platform(AEP) AI Assistant」英語版の一般提供(GA)を開始したと発表した。
AEPは、顧客体験(CX)の向上を支援する基盤。必要なデータを収集・標準化し、顧客のプロファイルに変換することで、パーソナライズされた体験の提供を支援する。AEP AI Assistantにより企業は、組織全体に価値を提供できるという。
AEP AI Assistantの利用イメージ
AEP AI Assistantは、同社のデジタルマーケティング基盤「Adobe Experience Cloud」の複数アプリケーションに組み込まれ、技術的な質問への回答を提供し、タスクの自動化、結果のシミュレーション、新しいオーディエンスやカスタマージャーニーの生成を行う。
これらの機能は「Generative Experience Models」で実現される。同モデルは、企業独自のデータ、キャンペーン、オーディエンス、ビジネスゴールに基づき、Adobe製品に関する知識とインサイト(洞察)を取得する。AEP AI Assistantの機能は以下の通り。
- ソリューションの専門知識:AEP AI Assistantは、幅広い運用タスクを実行し、ユーザーが置かれた状況や製品利用経験を問わず、問題の探索と解決に費やす時間を短縮するインサイトを提供する。
- コンテンツ生成と自動化:顧客企業は、AEP AI Assistantを用いた新しいCXの提供に加え、パーソナライズキャンペーンの対象者やデータ分析の可視化まで、あらゆるものを生成できるようになる。画像生成AIツール「Adobe Firefly」を使用したコピー、デザイン、画像付きの電子メールやウェブページといったマーケティングアセット自体の生成も含み、ユーザーは試行錯誤が可能である。
- 予測インサイトとレコメンデーション:AEP AI Assistantに今後搭載される機能により、担当者はマーケティング施策結果を事前にシミュレーション・最適化できるようになり、短納期で的確なマーケティング活動が可能になるという。
例えば、同アシスタントにより実務担当者は「オーディエンスセグメントを構築するには、どうすればよいか」「アイデンティティーマップとは何か」などの製品に関連した質問をすると、AEP AI Assistantからすぐに回答を得られる。不慣れなシナリオの素早いトラブルシューティングも可能で、サポートチケットを利用せずに済む。ユーザーは、「私が作成したセグメントはどれぐらいの頻度で使用されているか」といった質問をするだけで、クエリーを実行することなく、データセット、オーディエンス、カスタマージャーニーに関する運用インサイトも得られる。
AEP AI Assistantは、PDF、スライド資料、「Word」文書などの既存アセットからコンテンツ制作を加速させるクリエーティブブリーフ(クリエーティブ要件を定義する資料)の自動生成も可能。同アシスタントは、データセグメントをフォルダに整理したり、AIが生成したコンテンツがブランド基準を満たしていることを確認したりする面倒な作業の削減を支援する。
ユーザーは「このセグメントからどの程度のコンバージョンが期待されるか」「セグメントフィルターを追加した場合、コンバージョンはどのように変化するか」といった複雑な質問に数秒で回答する予測インサイトを利用できる。加えてAEP AI Assistantは、特定の顧客層を対象としたプロモーションオファーなど適切なアクションをレコメンドし、コンバージョン率の向上に寄与するという。