アマゾン ウェブ サービス(AWS) ジャパンは7月22日、生成AIの実用化を推進する新たなプログラムを発表した。総額で1000万ドル規模のサービスクレジットを提供し、日本企業における生成AIの実用化を加速させる。
AWSジャパンは2023年、日本独自の施策として国内の企業・団体を対象に、大規模言語モデル(LLM)の開発を支援する「AWS LLM 開発支援プログラム」を展開。60社弱の応募の中から最終的に17社が採択された。
今回の「AWSジャパン 生成AI 実用化推進プログラム」では、(1)基盤モデルを開発・改良することで課題解決を目指す「モデル開発者」向け、(2)既存の基盤モデルを活用することで課題解決を目指す「モデル利用者」向け――という2つのアプローチで支援を提供する。
モデル利用者向けの支援内容
モデル利用者向けの支援内容
前回のプログラムでは総額600万ドル規模のサービスクレジットを提供したが、今回は総額1000万ドル規模のサービスクレジットを用意する。これによって、生成AIの実用化に向けて同社サービスを利用するための金銭的な負担を軽減する。なお、サービスクレジットの提供は、想定コストの半額が上限となっている。
また、プログラムでは、生成AIを活用した課題解決の戦略策定から、本番環境での活用段階に至るまでの過程を対象にディスカッションを行い、その計画や要望に沿った形で支援する内容や時期を提案する。生成AIの開発・活用を得意とする同社パートナーとの連携も図る。
プログラム参加者の募集は2024年10月31日まで、実施期間は2025年3月末までとなっている。同日開催の説明会で同プログラムの詳細を説明するサービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長/ソリューションアーキテクトの小林正人氏によると、支援規模については「50社程度」を目安にしているという。
プロジェクト期間中には、コミュニティー型イベントとして「AWS Generative AI Frontier Meetup」の開催も計画している。生成AIで課題解決に取り組む人々同士の交流や情報交換の促進を図る。
AWSジャパンは同日、日本向けに生成AI関連の情報を提供するポータルサイトを開設した。顧客事例やユースケース、サービス更新、ベストプラクティスなどのコンテンツを集約し、ワンストップで情報を収集できるようになっている。
執行役員 サービス&テクノロジー事業統括本部 統括本部長の安田俊彦氏は説明会で、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する取り組み「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」における計算資源の提供者として同社が選定されたことなどを挙げ、同社が日本の生成AI活用に向けて投資を強化しているとアピールした。
AWSジャパンの安田俊彦氏(右)と小林正人氏