Microsoftが5月に人工知能(AI)を活用した新たなコンピューティングのカテゴリー「Copilot+ PC」を発表した際、目玉機能とされたのが「情報をより迅速に発見しやすくする」とうたう新機能「Recall」だった。
だが、セキュリティ研究者が「プライバシー上の悪夢」になると警告したことから、目玉だったはずのこの機能は、Microsoftにとって近年では最大級の頭痛の種と化した。懸念の声への対応策として、同社はRecall機能の提供を急きょ取りやめた。それから1カ月後には、同社は一般提供の開始時期を無期限に延期したうえで、「Windows Insider Program」(WIP)の参加者へ「向こう数週間以内に」提供するとの方針を示していた。
それから2カ月に及んだ気まずい沈黙を破り、Microsoftは米国時間8月21日付の更新情報で、ようやくRecallに関する計画を明らかにした。
「信頼に足るセキュアなCopilot+ PC上でのRecall(プレビュー版)体験を顧客に提供するという決意のもと、Recallが10月からWIP参加者に提供されるという最新情報をここに共有する。6月13日の時点で明らかにしていたように、すべてのCopilot+ PCでRecallを利用できるようにするのに先立ち、Windows Insiderコミュニティーの価値ある専門知識を活用するため、リリースに向けたアプローチを調整してきた。セキュリティは引き続き当社の最優先事項であり、10月にWIP参加者にRecallを提供する際には、さらなる詳細を記載したブログを公開する予定だ」
AIを導入したPCの新カテゴリーにおいて、フラッグシップ機能になるはずだったことを考えると、これは非常に驚くべきスケジュール変更だ。そしてこれは、Recall関連のプライバシー問題が、少数の簡単な微調整では解決できないことを示すものでもある。
Microsoftは通常、感謝祭から年末にかけてのホリデーシーズン中はWIPの開発サイクルをペースダウンさせるので、実際にはRecall機能は2025年になるまで広く提供されることはないと考えるのが妥当だろう。
提供:Andrey Rudakov/Bloomberg via Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。