PE(Private Equity)ファームとのパートナーシップを背景にした積極的な買収戦略を展開し、今日の地位を築いたInfor Global Solutions (インフォア) 。業界ごとにエンド・トゥ・エンドのプロセスの地図を描き、そこに当てはまるソリューションを買収することによってシェアを拡大してきた。
業種特化のERP買収でカスタムを最小限に
「インフォアには、もともと一から開発して作り上げたソリューションがひとつもなかった。まず青写真を描き、その上にERPやSCM、CRMなどをすべてマッピングしていったのだ。ここが他社と大きく違う」
こう語るのは、日本インフォア・グローバル・ソリューションズの執行役員であり、インダストリーソリューション・ビジネスコンサルティング本部本部長を務める笹俊文氏だ。
笹氏は「業種を超えて幅広く、横串で何でも対応できるようなERPは買収していない」と話す。SAPやOracleも買収を行っているが、インフォアの買収が異なっているのは、組立製造業、プロセス製造業、ロジスティックス、自動車業界、金融など、業種ごとに青写真を描き、その業種に特化して強みを発揮しているベンダーを買収してきたことだ。汎用的なERPではなく、例えば、極端な例としては「カジノ向けERP」「政府向けERP」といった特殊なソリューションを意図的に買う戦略である。
「汎用的なERPはどうしても痒いところに手が届かない部分があり、カスタマイゼーションが起こる。インフォアはそれぞれの業種に特化したERPを買っているため、カスタマイゼーションを最小限にでき、短期導入できる。これがバリューだ」(笹氏)
そうしたERPに加え、低コストと短期導入を実現する「Infor Fast Start」も提供する。インフォア独自のテンプレートと導入メソドロジーにより、汎用ERPであれば導入に1年、費用が数億円かかっていたところを、導入におよそ6カ月、費用は数千万円で済ませることができる。ビジネスの変化にいかに早く対応させるかを重要視したソリューションという。
ビジネスと技術の両面でユーザーを支える
インフォアが買収した個々の製品が特定分野で強いことは確かだ。しかし、気になるのは「全体」を俯瞰したときにどうなるのかである。個々のソリューションをどうマッピングし、ユーザーに提案するかが重要となるだろう。笹氏は「ビジネスと技術の両面でユーザーを支える必要がある」と話す。