Javaアプリケーションサーバ大手の日本BEAシステムズは、コールセンター業務などコンピュータ上で動作するアプリケーションから通信事業者が提供する通信サービスを利用できるようにする開発ツール群「BEA WebLogic Communication Platform」を出荷する。出荷時期と価格は未定。
WebLogic Communication Platformの位置付けについて米BEA Systems ワールドワイド・テレコミュニケーションズ・マーケット シニアディレクターのクリス・キング氏は、「通信事業者が他社との差異化を図って生き残るために、通信事業とIT(情報技術)の橋渡しとなって通信サービスとITを融合させるフレームワークが必要になっている」と説明。対象となるユーザーは、電話網をIP網で構築する通信事業者や、通信サービスを利用するアプリケーションを開発するシステム開発会社である。
米BEA Systems ワールドワイド・テレコミュニケーションズ・マーケット シニアディレクターのクリス・キング氏 |
従来、通信サービスを利用するアプリケーションを開発するためのフレームワークは標準化されておらず、通信事業者や通信機器ベンダー、システム開発会社などが独自に作り込んでいた。WebLogic Communication Platformを使えば、こうした独自システムと比べ、システムの開発期間が短くなり、開発コストが下がる。
BEA WebLogic Communication Platformは、以下の2つのソフトで構成する。
(1)「BEA WebLogic SIP Server」は、電話音声や映像のセッション制御プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)のサービスを開発するソフト。SIPでアクセスするサーバアプリケーションを開発する目的に特化したJ2EEアプリケーションサーバである。SIPサービスには応答速度の高さなどが要求されるため、SIPコンテナとServletコンテナを一体化させて処理のオーバーヘッドを抑えた。具体的には、SIPのサーバモジュールを最終的にServletに変換してServletコンテナ上で実行する仕組みにした。
(2)「BEA WebLogic Network Gatekeeper」は、通信サービスをアプリケーションから隠蔽化・抽象化するためのソフトである。通信サービスと業務アプリケーションのゲートウェイとなる。抽象化するためのAPI(Application Programming Interface)として、ウェブサービスのSOAPを使うParlay-Xや、分散処理用のCORBA/IIOPを使うParlay/OSAなどを利用できる。アプリケーション開発者は、個々の通信サービスごとの差異を意識することなくAPIを使ってネットワークアプリケーションを開発できる。
なお、Javaアプリケーションサーバをベースとした通信アプリケーション開発ソフトとしては、米IBMも「WebSphere Everyplace Server for Telecom」を出荷済み。ただし、通信サービスと業務アプリケーションのゲートウェイ機能は持たない。