プラットフォーム化推進でサーバ市場でも機能セットをブランド展開--インテル

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:野田幾子、写真:津島隆雄

2005-04-07 10:00

2005年1月に大規模な組織再編を発表したインテル。製品別になっていた組織形態を見直し、デジタルエンタープライズとデジタルホーム、モビリティ、デジタルヘルス、チャネルプロダクトの5部門とし、プラットフォーム別に組織形態を再編した。サーバ分野ではマルチコアプロセッサへの開発にも力を注ぐ。インテル代表取締役共同社長である吉田和正氏に、インテルのエンタープライズ市場への視座と戦略を聞いた。

プロダクトからプラットフォームへ

--今年1月、大規模な組織再編が話題になりましたね。その目的を教えてください。

 インテルのコアビジネスは、半導体技術を駆使して集積度を高め、付加価値をシリコン上に展開し、ソフトウェアと組み合わせながら最終的には企業や通信などの各セグメントに提供するものです。コア技術に大幅な変化はありませんが、近年ネットワーク化やデジタル化が急速に進み、インテルのシリコンが必要とされる場所が増大しました。コンピューティングとネットワークは相互に関連しあい、デジタル化も進んでいます。シリコンの用途が拡大しているといえるでしょう。

 PCとサーバを例に取ると、個人が使用するクライアントの使われ方によっては、個人と企業の生産性が大幅に向上する。そのクライアントはネットワーク上にあり、サーバやストレージに接続され、ネットワークを介して企業内でITを駆使した世界が構築されつつあります。そういった状況の中、再編前の「デスクトップ」「ノートブック」「サーバ」「コミュニケーション」といったプロダクト別の事業を、シナリオごとに考える必要があるのではないかという結論に達しました。

 Centrino(インテル Centrino モバイル・テクノロジ)を実現する要素を見ても、構成要素は各事業部で独立して展開していたのですが、それらをまとめてノートPC用のCentrinoとして提供しました。このように、企業をはじめとするユーザーが求めているのは、インテルのシリコンや製品技術をどうやってビジネスに展開できるかです。今回の組織改編は、インテルのシリコン技術と製品技術、アーキテクチャ技術、ソフトウェア技術を市場のセグメントごとに機能的に展開しようという姿勢の現れです。

--では、中でも「デジタルエンタープライズ事業部」が取り組んでいるクライアント向けのチップは、ホームユーザーが使うものとはまったく異なるチップになるということでしょうか。

 そうです。コア技術そのものは、エンタープライズとコンシューマーで共通部分も出てくるでしょう。例えば、サーバでいえばアプリケーションのパフォーマンスとTCP/IP処理の重要性は変わりないと思います。同じように、企業向けのセキュリティ技術は家庭へも応用できますから、デジタルエンタープライズの技術が家庭にも使われる可能性は十分あります。しかし、基本姿勢としては用途ごとのつくりこみが重要だと考えています。サポート対象が大きく異なることは確かで、企業用途の製品では、IBM、SAP、Oracle、BEA Systems、Microsoftをしっかりサポートすることが必須条件となっており、その点はコンシューマー製品とは異なるでしょう。つまり、コアは共通部分が発生しうるがあくまでも用途に応じた性能を追究するということです。

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