--2004年11月に米コンピュータ・アソシエイツ(以下CA)のCEOにジョン・スウィンソン氏が入社され、4月より辣腕を振るっています。それに伴い、経営方針も大きく変わると言われています。
スウィンソンは、米IBM出身でWebSphere事業を担当していた人物です。彼はIBMの良い部分をCAのカルチャーと組み合わせて会社をよいものにしていきたいと考えています。CAは従来からエンタープライズクラスの企業に、ミッションクリティカルなソリューションを提供してきた経験があります。そこにスウィンソンのIBM時代に得たノウハウを付加することで、企業向けビジネスをさらに強化していこうという姿勢です。
日本でもCAの製品は多数の大企業に導入されており、アプローチは成功と感じています。ここにIBM流のマネジメント技法が加わり、よりしっかり管理されるようになれば、より良い業績を残せると考えています。
--スウィンソン氏が経営に加わって戦略的に変わった部分などはあるのでしょうか。
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CAはもともとM&Aを繰り返し、成長を続けてきた企業であり、プロダクトラインが非常に幅広いという特徴があります。これにはカバーする分野が大きいというメリットがあると同時に、開発やサポートを維持していくのは、負担が増大するというデメリットも存在します。
スウィンソンは、こうした無駄の削減と、コアコンピタンスへの注力を狙い、セキュリティとシステムマネジメントの分野に集中していく戦略を立てています。CAにおける両分野の売り上げはワールドワイドで全体の80%に達していますが、それをさらに高めると同時に、売上額も2倍に拡大する計画です。そして、日本でも同様の戦略を実施していきます。
--売り上げを倍に伸ばすためには相当の変革が必要と思われます。どのような戦略をとっていくのでしょうか。具体的にお聞かせください。
米CAを中心に徹底したセキュリティ分野の企業に特化してM&A戦略を進めていきます。買収は、特定分野を強化するためと、カバーする分野の拡大のためと両面で進めていきます。直近では、分野の拡大策としてアンチスパイウェアのペストパトロール社を、アイデンティティ・アクセスマネジメント分野の強化策としてネッテグリティ社を買収しています。また、今後はミドルビジネス(中堅企業)向けのビジネスをパートナー経由で強化していく戦略を立てています。
CAは従来、エンタープライズクラスの企業を対象にソリューションを提供してきました。そこで培われた技術で成熟したものは、SMB市場やコンシューマー向け市場にフィードバックできるようになっています。このため、エンタープライズに向けたソリューションをコアに置きながらも、SMB、コンシューマーに対して裾野を拡大していこうと考えています。 また、SMB市場向けの戦略としては、OEMやエンベデッドで提供されるアプライアンスなど、CAがハードウェアの中に潜んでいて名前を出さない形でのソリューションも提供していきます。
--セキュリティ専業の企業は世の中に多数存在しますが、その中でCAはどのような点を強みとして展開していくのでしょうか。
CAの強みは、ニュートラルであること、グローバルであること、そしてセキュリティに関するエンタープライズ向けのビジネスに注力していることが挙げられます。
現在の情報セキュリティは、内部/外部を問わず相次ぐ新たな脅威の登場によって、非常に混沌としている状況であり、脆弱点が露呈するとそこを補強するというポイントソリューションが中心となっています。
そして、新しく登場する脅威に対してのセキュリティを提供する企業は、ベンチャー的な企業が多数を占めています。CAは、こうした企業を買収しながらセキュリティ分野のビジネスの強化を図っていくことで各ポイントの連携を強化します。
同時に、セキュリティマネジメントに関しては、特定のハードウェアベンダーやプラットフォームに依存しないニュートラルな立場を保ち続けます。ニュートラルな立場を保つことで、ヘテロジーニアスの環境でもそれらを包括できるセキュリティマネジメントを提供することを目的としています
また、グローバルである利点は、企業が世界中でビジネスを展開している場合にも、世界進出をする際にも、世界各国でサポートを受けられる点にあります。
そしてエンタープライズに特化してきた利点は、安心感や信頼感を与えられることです。いまやセキュリティは全社的に導入することが必須となっており、あらゆる分野をカバーできていなくてはなりません。それを豊富な製品ラインアップと、これまでのエンタープライズ向けのビジネスで培ったノウハウを提供することによって、ユーザー企業の信頼感や安心が得られるのです。
--日本市場での戦略強化の具体策についてお聞かせください。