--日本市場での戦略強化の具体策についてお聞かせください。
日本市場では、セキュリティマネジメントの分野に注力していきます。具体的な製品としてはユーザーやリソースを管理する「eTrust Admin」、ユーザーの役割に基づいたアクセス管理を実現する「eTrust Access Control」、セキュリティとシステムの監査情報を収集して統合管理する「eTrust Audit」、Webアプリケーション向けのセキュリティ基盤となる「eTrust SiteMinder」などの販売に注力します。
日本ではセキュリティというと、外的脅威に対応するためのファイアウォールやアンチウイルスなどばかりに目がいってしまっており、マネジメント分野にはほとんど無関心です。
しかし、個人情報保護法の施行や相次ぐ情報漏洩に関する事件によって、外的脅威よりも利用するユーザーの適正な管理を促すアイデンティティ・アクセスマネジメントの分野にも注目が集まってきました。そのさらに上のレイヤーであるセキュリティマネジメントの分野は、日本でも確実に需要は増していく潜在的な需要が大きいものだと考えています。
実際の導入は進んでいないものの、セキュリティマネジメントへの引き合いは、昨年の5〜6倍と日本でも強くなっています。米国ではすでに一昨年と比較して6倍に市場が膨らんでいますので、日本でもこうした動きがあると予想しています。
--体制強化についての戦略をおきかせください。
まず営業力の強化を行っていきます。日本では、パートナーをベースにした戦略を展開していますが、パートナーからのアプローチだけでなく、CAが顧客を発掘してパートナーに対して紹介するといった擬似的なダイレクトアプローチを実施していきます。
また、ユーザーサポートと日本向け製品開発を強化していきます。2005年5月を目処に日本オフィスに米国CAが数億円レベルで資本提供する「Japan Technology Center」を開設します。
これは、日本ではなく米国本社が日本にR&D部門を置くもので、サポートに関する本社へのフィードや製品の改良などを、製品のコア部分であるソースコードの書き換えも伴う形で行っていきます。これにより、パートナーに対しての技術支援を行っていきます。
--製品のローカライズなども「Japan Technology Center」で行うのでしょうか。
ローカライズ部門は、米国本社にありますが、そこでは日本人がトップを務めており、今後発売されるCA製品はすべて日本語環境で動作するものとなります。いわば、CAの中では、日本語が第二言語になっているのです。
本社のCEOであるスウィンソンはIBMの出身だと申しましたが、CAでは日本IBMの成功モデルをCAの成長の目標としています。また、CAが注力しているセキュリティマネジメントはセキュリティに関して成熟した市場、つまり外的脅威の部分が整った市場で最もチャンスがあります。逆に中国は一般的なセキュリティの市場は大きいのですが、不正コピーなどが横行しているのに加え、CAの強みとなるマネジメント分野は未成熟です。このため、ワールドワイドでみても日本市場は米国市場に次ぐ注目市場として見られているのです。
--CAはM&Aに注力していくと聞きましたが、ソフトウェア業界では、大型の買収・合併案件が相次いでいます。こうした動きをどのように見ていますか。
セキュリティソフトの業界でも、シマンテックがベリタスを買収・合併するという大きな動きがありました。これは、外的脅威への対策をビジネスのコアに置いていたシマンテックが、マネジメントの分野に乗り出すといった動きともとれますが、この動きはCAとしては歓迎しています。というのも、セキュリティマネジメントの市場が大きく広がる可能性ができたからです。
CA一社でいくらマネジメントの重要性を謳っても、ユーザーの耳元に届かなくては意味がありません。そういった意味では、ライバルの登場を非常にうれしく思っています。ただ、負けるわけにはいきませんので、セキュリティ分野のナンバーワンにこだわってビジネスを拡大していく予定です。
