高い投資効果を目指す日本型ERPで勝負--ワークスアプリケーションズ

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:木原美芽、写真:津島隆雄 2005年04月25日 10時00分

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 大企業向けERPパッケージソフトウェア「COMPANY」で急成長中のワークスアプリケーションズは、1996年に設立し、わずか5年で上場を果たした企業。現在、国内における人事給与システムではトップシェアを誇り、その他、就労・プロジェクト管理や会計シリーズなどを開発・販売している。
 ERPパッケージソフトといえば、SAPやオラクルといった外資系グローバルスタンダード企業の強さが語られることが多い。だがその中でなぜ、ワークスアプリケーションズは躍進を続けているのか。彼らが顧客に提供している価値とは何か。顧客がワークスアプリケーションズを選ぶ理由とは何か、今後のワークスアプリケーションズの事業展開、そして企業がITを導入するにあたって必要なポイントについて、同社代表取締役最高経営責任者・牧野正幸氏に話を聞いた。

--御社のERPパッケージソフト「COMPANY」が、大企業に提供している価値とは何でしょうか。

 ずばり、ROI(投資回収率)です。これまで日本のITソフトウエア業界は、顧客にROIを提供することがまったくできていませんでした。これは受託開発のせいなのです。一社のためだけに組まれたシステムが、非常に高額になるのは当たり前。これまでROIがとれた受託開発システムと言えば、銀行の第一次オンラインシステムやネット証券のトレーディングシステムのように、顧客獲得競争に絶対的に役立ったものぐらいでしょう。それ以外のシステムは、ほとんどすべてが投資額を回収できていない。日本の情報投資のROIは、ほとんどマイナスなのです。

 例えば1億円かけたシステムによって、年間2000万円のコスト削減が可能になり、社員二人分のコスト削減ができるとしましょう。しかしこれはあくまで導入時点の話であり、システムの維持費やバージョンアップ代は別途かかるため、総合計は結果的に以前と同様か、それ以上にコストがかさんでしまいます。これは受託開発型システムが必ずといっていいほど陥る罠です。

 このことは最近、色々なところで発表されていますから、ご存じの方も多いと思いますが、IT業界内ではずっと以前から暗黙の了解となっていました。私も起業する以前、コンサルタントとして働いていた時から、このことは承知していました。「これでは元がとれない」とよく同僚と話していたものです。その一方で、「顧客は満足しているから、いいのではないか」と言っていた。しかし本当のことを言えば、「総コストはかかるが、内容に満足しているからいい」というシステムは必要ないのです。こんなことを株主に聞かれたら、おしまいですよ。でもそういうケースが99%なんです。日本のソフトウエア市場は10兆円規模と言われていますが、9兆5000億円ぐらいはマイナス投資と言っても過言ではないでしょう。根本的なことを言えば、日本のITソフトウエア業界は本当はいらないんです。今の状態では、1社も必要ない。

--日本のソフトウエア業界は、顧客の立場にまったく立っていないということですか。

 みんな、黙っているんです。この構造の欠陥は誰もが気づいているが、解決方法がなかった。
 だからといってソフトウエア業界が非常に儲かっているのかというと、そういうわけではありません。受託開発で1社のために2000万円のシステムを作っても、コンペティターとの価格競争が厳しく、価格を下げざるを得ない。結果、儲けは微々たるものです。一方、発注側も本来ならそこまでのコストをかけてはいけないシステムを依頼してしまう。win-winどころか、lose-loseの関係になるわけです。

 欧米では、受託開発の市場は非常に縮小しています。いわゆる日本で言うところのSIerやソフトウエア会社はほとんどありません。なぜ、欧米では受託開発型ではなく、パッケージが普及したと思いますか? 理由は単純で、不必要な投資に対する株主のチェックが厳しいからです。

--その解決方法が、パッケージソフトだったわけですね。

 ROIがとれるのはパッケージソフトだけです。例えばExcelはROIが絶対に出る製品。もしこの世の中にExcelがなくて、1台600万円で同様の機能が売りに出されたとしたら、きっと各社はこぞって導入するでしょう。それぐらい、Excelは画期的な製品でありながら、数万円で購入できるのです。

 弊社のパッケージソフトも同様で、多大な研究開発費をかけた製品を多くの顧客に提供するからこそ、「顧客にとって適正な」価格を実現できるのです。

--御社の製品はブランド力がなかったにも関わらず、なぜ大企業に採用されたのでしょうか。その秘訣は?

 やはり圧倒的な価格競争力があったということでしょう。我々はこのソフトを開発した背景とビジネスモデルそのものを、顧客に「買って」もらいました。我々が説明させていただくと、みなさん、「ROIをとれていないのはわかっていたけれど、受託型や海外のパッケージを買わざるを得なかった」「うちの業務フローに合わないのはわかっていたけれど、カスタマイズして海外パッケージを使っていた」とおっしゃる。弊社は、機能不足というのはすべてパッケージベンダーの問題であり、それを吸収して製品に組み込むのは我々の責務であると考えています。その考えを評価し、また外資系ではない大企業向けERPパッケージを供給している我々を「育ててくれよう」という企業が非常に多かったため、ここまで企業を成長させることができたのだと思います。日本の民間企業は、ベンチャーである我々に対し、非常に協力的です。

--では「COMPANY」は、SAPやオラクルの製品と比較して、どこにアドバンテージがあるのでしょうか。

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