IBMのスーパーコンピュータBlue Gene/Lの規模を倍に拡張したところ、その処理性能も2倍となった。米エネルギー省は米国時間23日、同システムが135.5テラフロップ(1秒間に135兆5000億回の計算が可能)の性能を記録したと発表した。
同システムは2004年11月に、スーパーコンピュータのTop500リストでトップの座に輝いている。Top500リストとは、世界最速のスーパーコンピュータをランキングしたもので、Blue Gene/Lの当時の性能は70.7テラフロップだった。同システムは現在、ローレンス・リバモア国立研究所への移管作業が行われている。
Blue Gene/Lのパフォーマンス強化は、システムを構成するラックの数を倍の32へと増やしたことで実現した。計画通りにいけば、最終的に同システムは64個のラックで構成されることになり、2005年末には約270テラフロップの性能を実現することになる。
個々のラックには、1024個のプロセッサが搭載されている。個々のプロセッサには、IBMのPowerプロセッサの特別仕様のものが用いられ、この内部では「コア」と呼ばれる処理エンジンが二重化されている。Top 500 Listのランク付けに利用されるLinpackという基本パフォーマンスのテストプログラムを走らせるために、個々のコアは計算処理に対応できるようになっている。しかし、たいていのタスクを実行する場合、これらのうちの1つは通信処理をつかさどる。
Blue Geneは、1秒間に1000兆回の計算が可能なペタフロップ級の性能を持つシステムを構築するという研究プロジェクトとして、2000年にスタートしたものだ。IBMは今では、このシステムをビジネスに活用しようとしている。同社は、Blue Gene/Lをラックあたり約200万ドルで販売開始したほか、同システムの処理能力を顧客へレンタルするプログラムを提供している。
Blue Gene/Lは、IBMが現在力を入れている高性能コンピューティング技術から生み出された製品の1つである。IBMでは、同市場におけるトップの地位をHewlett-Packardから、そしてTop500リストにおけるトップの地位をSilicon Graphics Inc.やNECから守ろうと、躍起になっている。
IBMでは、フル構成のシステムを今年5月までに導入する予定だと述べており、リバモア研究所広報のDon Johnstonは7月にシステムが立ち上がって稼働を開始するとコメントしている。
リバモア研究所は当初、Blue Gene/Lの機密プロジェクトでの利用を想定していなかった。しかし、Johnstonによると、その有用性を認識したことから、同研究所では、兵器の研究プロジェクトなどへと用途を拡大することに決定したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。