PCForumでは「Longtail」が大人気で、悪巧み仲間のDan Farberから「流行語大賞」をもらったようだが、私が使っているRSSリーダーでこのところ最もよく目に付くのは、「Ajax」だ。Accessify.comによるとAjaxとは、「Asynchronous JavaScript and XML」の頭文字を取ったものだという。今ウェブ上でAjaxについて説明している人は、ほぼ全員がJesse James Garrettのウェブページを見るように言っている。このページには、Ajaxで作成したアプリケーションの仕組みに関する詳しい技術的説明が載っている。しかし、大部分の人は、Ajaxの詳しい仕組みを知らなくても特に問題ない。実物を目にすれば、一目瞭然だからだ。たとえば、信じられないほど高度なブラウザベースのアプリケーション--つまり、通常なら大規模なクライアント・アプリケーションを思い出させるようなあらゆる種類の機能を持ち、しかもプラグインやその他のローカルなクライアント技術を一切使っていないものは、Ajaxで開発されている可能性が高い。
Ajaxの背景には、次のような考えがある。XMLがインターネット上で不可欠なほど普及した今、たいていのブラウザに見られる基本的な技術は十分に優れており、それを使えばかなりリッチなクライアント経験を生み出すことができる。GmailなどGoogleが開発したアプリケーションの多くには、このことが当てはまる。これらのアプリケーションでは、ローカルクライアントの機能を使わずに、非常にインタラクティブな使用感を提供している。InfoWorldのJohn Udellは、昨年Gmailのレビューを行うまで、特にこれといった期待はもっていなかったのだが、Gmailの内側の仕組みを垣間見た彼は、Gmailのアドレス先読み(用キャッシュ)機能とスペルチェッカーに目を回し、「ものすごいトリック」だと紹介していた。当時はまだ「Ajax」という呼び方は生まれておらず、それが流行していたわけでもなかった。
GoogleがAjaxをかなり自由に使いこなしていることについて、Garrettは自らのブログのなかで、「GoogleはAjaxをつかったアプローチの開発に膨大な投資を行っている。Googleが過去1年間に発表した主要な製品、つまりOrkutやGmail、そしてGoogle GroupsやGoogle Suggest、Google Mapsの最新ベータ版は、いずれもAjaxアプリケーションだ」と述べている。これに関しては、2週間前にNews.comのPaul Festaが書いた「Will AJAX help Google clean up?」という記事を読んで欲しい。
ウェブ上の話題で面白そうなものは1つも見逃すまいと、 MicrosoftのRobert Scobleは先週、MicrosoftのOutlook Web Access(OWA)をAjaxの先駆けとして認めるべきだとコメントした。この大胆な言い分には批判が浴びせられたが、それはOWAが、ブラウザベースの電子メールインターフェースとしてはかなり洗練されたものであるとしても、それはMicrosoftのInternet Explorerの場合だけで、 MozillaやSafariではそれほどうまくは機能しないからという理由による。そして、われわれもZDNetで、Microsoftの他のスマートブラウザクライアントのいくつかについて、これに近い考えを述べてきている。たとえば、われわれは2004年、MicrosoftのSharepoint Serverをテストした際、他のどのブラウザよりもInternet Explorerを使った方が、格段にリッチなユーザーエクスペリエンスを得られたと述べた。
対照的に、Googleは現在出回っているすべてのブラウザで、 Ajaxベースのアプリケーションが可能な限りうまく動くようにわざわざ手間をかけたように見える。個人的な考えをいうと、仮にAjaxアプリケーションに太刀打ちできるものがあるとすれば、それはおそらくScalixが開発するブラウザベースの電子メールクライアントになるはずだと思う。RedmonkのStephen O'Gradyは自らのブログのなかで、Scalixの実装はOWAと「同程度」と読んでいるが、最後に「Gmailがさまざまなブラウザで完全な機能性を提供しているのに対し、OWAをIE以外のブラウザで使うとひどいレンダリングになる(私は家では非IEブラウザでOWAを使っているので、そのことはよく知っている)。この理由だけでも、OWAをベストな技術と考えることはできない」と述べている。一方、Scalixのブラウザベースの電子メールクライアントも、Googleのクライアントサイド技術と同様に、特定のブラウザでの利用を想定していないことから、実物を見たことがある人なら、これがよくできているという私の意見に同意してくれると思う。