VoIP(Voice over Internet Protocol)を電話サービスと同様に規制するべきではない、と世界的なインターネット監督機関の指導者らは主張している。
シドニーで開催されたインターネット統治に関する円卓会議で、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)の会長Vinton Cerfは、個人的な意見としたうえで、VoIPをどのように規制すべきかという問いに対する答えは簡単に導き出せると述べた。
「そもそも質問が間違っている。(VoIPは)規制をするものではない」(Cerf)
インターネット通信を可能にしたTCP/IPプロトコルの開発者の1人で「インターネットの父」として知られるCerfは、各国の規制当局は新世代のサービスに合わせて思考を変えていくべきだと述べた。
「規制する側は、通信媒体と情報配信サービスを混同しがちである」とCerfは述べた。
VoIPと従来の電話サービスは、それぞれ全く違う技術を用いて実現されているにも関わらず、一見よく似た機能を備えているため、規制当局は両者の違いを理解できずにいると、同氏は述べた。
「私が懸念しているのは、VoIPサービスを見たり、VoIPという言葉を聞いたりした人々が電話を連想してしまうことだ。これは大きな誤りだ。このような誤解は非常に危険である。VoIPは、インターネット上で使用されるアプリケーションの1つに過ぎない。特別なものではないのだ」(Cerf)
各国政府が電話と同様の規制をVoIPにかければ、「自分たち自身に大きな規制を課してしまったことに気が付くだろう」と、Cerfは警鐘を鳴らす。
ICANNのCEOであるPaul Twomeyは、前述のテーマに関する個人的な見解はCerfと同じだと述べるに留まり、VoIPで緊急電話を実現すべきかという議論に時間を割いた。Twomeyは、VoIPを従来の電話と同様に分類するべきではないとし、緊急サービスへのアクセスをプロバイダに強制すべきではないと主張した。
全てのVoIPサービスにおいてユーザーに電話番号が付与されるわけではないのに対し、「従来の電話サービスでは全てのユーザーに電話番号が割り当てられる。だからこそ、緊急サービスに電話をかけられるようにすることができる」とTwomeyは説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ