スピード狂のあなたにピッタリの技術が登場

Ed Gottsman

2005-05-25 21:22

 オーストラリアのキャンベラにあるNational Information and Communications Technology Australiaという研究所が、車を運転する人のための「アシスタント」を開発した。このデバイスは、自動的に制限速度の標識を読み取り、車が制限速度以上のスピードで走っていると、ドライバーに警告を出す。また、このデバイスは一時停止の標識も認識し、車が一時停止できるように減速しない場合もやはり、警告を発する。さらに、このシステムは2台のカメラを使ってドライバーの視線を追跡し、道路標識をドライバーが本当に見ているかどうかまでチェックする。

 この技術が意味することを考えてみた。

 確かに車の運転は危険を伴う。それゆえ、自動車は、コンピュータベースの新しい技術を試す格好のプラットフォームになっている。GPSを利用したナビゲーションシステムで自分の居場所を把握する車や、アルコール検知器やイグニッション・インターロック装置を備えていて飲酒運転ができないようになっている車、短距離レーダーを使って前の車に衝突しないように車間距離を監視する車などは、既に存在する。そう考えると、制限速度が分かる(そして、それをドライバーに守らせる)車を作るのももそう難しい話ではないだろう。

 今回紹介した技術の注目すべき点は、視線分析だろう。うまく改善されれば、ドライバーが交通渋滞でイライラしているときも、このデバイスが役立つようになるかもしれない(もっとも、このようなデバイスにずっと監視され続けること自体が、ドライバーをいらだたせる原因になるかもしれないが)。たとえば、このデバイスは、ドライバーのイライラを感知したときに、(ドライバーに笑気ガスを吸わせるなど)何らかの措置をとることで、大事故を防ぐことができる。また、この技術を使えば、追い越しをする前にドライバーに死角を必ず確認させたり、頻繁にバックミラーを見るようにさせたりもできる。

 顧客に受け入れてもらおうとして設計者たちが気を利かせ過ぎ、この装置に「人間性」を持たせようとしないことを祈ろう。オイルチェンジを怠ると意地悪くエアバッグを膨らませる怒りっぽいミニバンとか、追い越し違反をしようとすると(「2001年宇宙の旅」のHALのように)「I'm sorry, Dave...」と言い出す車とかが目に浮かぶ。誤解しないで欲しい。(私は例外だが)多くの人々にとってこのタイプのシステムは役に立つと思う。ただ私は、自分が生きているうちに、こういう装置を車に取り付けることが義務化されてしまうのではないかと、今から気をもんでいる。

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