Between the Linesに新顔が加わった。私はこれにZDNetの「スレッドログ(threadlog)」という名前を付けたが、インスタントメッセージング(IM)ログとでも呼んだほうがいいかもしれない。スレッドログとは、業界の有力者と私がIMで交わした会話をそのままウェブサイトに公開するものだ。なぜこんなことをするかというと、こういう会話をいつものように私が要約して載せるのではなく、生のやり取りをそのまま読者のみなさんに見せたいからだ。そう方が臨場感あふれる会話を読者のみなさんにお届けできる。もちろん多少は編集する。単語の綴りやタイプミスのような明らかな間違いはもちろん、「あの子がAmerican Idol(米国のタレントコンテストのテレビ番組)で優勝したよ」というように、テーマと関係のない部分を削除した。また、はしょった言い方や話の順番が入れ替わっている部分も整理して、混乱を招かないように工夫した。だが、発言の意図は決して変えていない。基本的に、読者のみなさんが読んで理解しやすいようにしている。最初のスレッドログとして、Bob Frankstonと最近交わしたIMの内容を紹介しよう。
Frankstonは(Dan Bricklinと共に)スプレッドシートプログラムを発明し、後にMicrosoftでホームネットワーキング戦略に関わった人物だ。彼自身の言葉を借りれば、彼は「インターネット改革」に情熱を注いできた人でもある。インターネットを改革するには地道な努力が必要だ。その1つとして、以下に掲載したスレッドを読めば分かるように、電話会社や携帯電話会社を説得して、現在のハンドセットに設定されている各種制限を取り去く作業が挙げられる。これらの企業は、ユーザーを囲い込み、ハンドセットを使ってできることを制限し、最新鋭のハンドセットが備えている最も優れた機能を利用できないようにしている。ハンドセットに付いている機能が欲しくて買ったはいいが、契約している携帯電話会社がその機能に対応していなかったり、機能を変更したりしているので、結局まったく使えなかったというような経験を何度したことか。以下の会話からも分かるように、Frankstonは通信事業者が所有する壁で囲われた庭への入り口を特別な語で呼んでいる。
DB:おはよう。
Bob:おはよう。
DB:あなたがサインオンするのを見たから、声をかけようと思って。
Bob:もうサインオンしてたと思ったんだけど。夜のフライトで帰ってきたばかりだから、ようやく寝ぼけてたんだろう。ようやく目が覚めてきたところだ。
DB:おお、やだ、やだ・・・
DB:Dカンファレンスに行ってたのですか?
Bob:うん、今年のDの合言葉は「穴」だったよ。
Bob:(AppleのSteve)Jobsが通信事業者のことを表現するのにこの言葉を使って、みんながそれを使うようになったんだ。Walt Mossbergは通信事業者に対して本当に怒っているけど、すごくいいことだよ。
DB:Jobsの成功を台無しにするのは通信事業者だから、不思議ではないですよ。
DB:確かに、Jobsがそんなことを言うのも不思議じゃない。
Bob:あるいは逆に彼が通信事業者をやり込めるかもしれないよ。MotorolaはiPod電話を作っているけれど、彼らはこれが一時的なその場しのぎのものだということを認識している。その一方で、MicrosoftとIntelも「穴」の会社だしね。
DB:Motorolaの電話がなぜ一時的なその場しのぎだと思うんですか?
Bob:その理由はこういうことだよ。(Motorolaの会長でCEOである)Ed Zanderは、人々が携帯電話を使って真のデータ通信をしたいと考えていることが分かっている。その一方で、Bill Gは通信事業者を動かすにはインセンティブや対価が必要だと考えている。IntelはMIPSを使って複雑な問題を解決できると考えている。でも彼らは間違っている。
DB:だけどどうして、Motorolaの電話がその場しのぎなんですか? あるいは、あなたの最後のコメントを僕が理解できなかったのかな?
Bob:あらゆる企業が通信事業者向けにさまざまな端末を作っている。だったら、ソフトウェアで定義できる汎用の端末を作ったらどうなんだ?
DB:iPod=操作が簡単で誰でも使える。
DB:電話=操作が簡単で誰でも使える。
DB:PDA(ソフトウェアで設定できる)=誰でも使えるわけではない。
DB:大体のところ、Motorolaは誰でも簡単に操作できる端末しか作らない。
DB:でも、彼らの電話の多くはJavaをサポートする。
DB:ということは、Motorolaの端末は両方のいいところを持ち合わせているということかもしれない。
Bob:君の言うことは正しいかもしれないけれど、今のところ私が心配しているのは「穴」なんだ。
DB:MotorolaのiPod電話はJavaをサポートするんですか?
Bob:その点については話さなかった。Motorolaはいろんな電話を作っているから、結局のところは、オポチューニティ(機会)プロバイダじゃなくて、ソリューションプロバイダだ。でも、私がもっと心配しているのは、スマートフォンでやっているように電話会社が人の弱みに付け込むことなんだ。
DB:「穴」という語はどういう意味で使ってるんですか?
Bob:そこを通らないと抜けられない通路という意味だ。具体的な例を挙げれば、我々の体の後部についている出口のようなもののことさ。
Frankstonの言うことにも一理ある。みなさんも同感だろうか。スレッドログのアイデアはどう思うだろう。スレッドキャスティングとでも呼ぶべきだろうか。IMでスレッドロギングやスレッドキャスティングをしてみませんか。