シーベルのオンデマンドCRM戦略

David Berlind(ZDNet.com)

2005-06-01 22:14

 Siebelのバイスプレジデントで、OnDemandとSMB(small/medium business)を担当するゼネラルマネージャBruce Clevelandが先週マスコミにあるメッセージを配布した。これは彼の「縄張り宣言」とでも言える。競合他社の具体的な名前こそ出していないが、Salesforce.comと真っ向から対立するべく、Siebel本社の地下にあるねぐらで冬眠していたClevelandがむっくり起き出してきたようなイメージがこのメッセージを読んでいるうちに浮かんできた。

 彼はこのメッセージのなかで、2004年の夏にSiebelに再び加わったこと、ユーティリティ・コンピューティングの精神に基づいて、コメントをもらえばそれに対してオンデマンドで返事をすることなどを述べている。また、特定のグループの人たちに定期的にアップデートを配信するつもりだとも述べている(Bruceさん、オンデマンドにしたいんだったら、電子メールじゃなくて、ブログかWikiにしたほうがいいと思いますよ)。

 また、オンデマンドCRM関連の別のニュースだが、InfoWorldが「As Salesforce.com grows, analysts probe ROI」という題のレポートを掲載している。このレポートには次のように述べられている。「ホスティング形式のアプリケーションは、特に大企業では長期的に大きなコスト超過になる可能性があるという警告を、アナリストたちがお客様に盛んに出すようになってきている。調査会社のGartnerは、複雑な構造をもつ企業がSalesforce.comを運営するためのコストは、3年後にはこれまでのパッケージになったCRMの運営コストを追い越すだろうと予測している」。オンデマンドCRMシステムの戦略的な価値を控えめに評価しているのはGartnerだけではない。ZDNetのDatapointというコーナーでは、Chris JablonskiがNucleus Researchによる研究結果の詳細を話していて、あちらでも同じような結果が出ているということだ。以下が、Clevelandの手紙だ。

差出人: OnDemand - Bruce Cleveland
送信日: Wednesday, May 25, 2005 4:26 PM
宛先: OnDemand - Bruce Cleveland
件名: Siebel Is Here For You "On-Demand"

友人や仲間のみなさん、

 OnDemandとSMB事業部門を指揮するために、去年の夏、Siebel Systemsに戻りましたが、その間にオンデマンドCRMへの関心がますます高まってきました。

 従業員5人程度のスタートアップ企業から数十億ドルのエンタープライズ企業まで、ハードウェアとソフトウェアに先行投資する必要もなく、すぐにCRMを展開することができるオプションにたくさんの企業が大きな価値を見出しています。

 この市場に対する関心が高まってくるにつれて、みなさんやみなさんの読者の方々がお聞きになりたいことがいろいろ出てくることと思います。そんなときには、みなさんの情報源として私どもがお役に立てれれば幸いです。Siebel Systemsのビジョンをはじめ、私どもが提供する製品や、お客様が日々のビジネス運営で出会うさまざまな課題を乗り越えることを私どもがどのようにお手伝いしているかをご説明させていただきます。

 みなさんが記事を書いていらっしゃるときには、極力時間をとって、コメントをお出したり、必要な情報をご提供したりして協力することを私個人としてお約束します。つまり、「オンデマンド」でみなさんのご依頼に対応させていただきます。

 また、オンデマンドCRMの市場について私の考えをみなさんと共有するために、これからもときどきご連絡させていただきたいと思います。今月のメールでお話したいのは、みなさんもお読みになったと思いますが、最近発表されたいくつかのアナリストの報告では、Siebelの垂直統合されたアプローチがいかにお客様に価値を提供しているかが評価されていました。特に、カスタマイズの責任をお客様に強いる製品には隠れたコストがあるというGartnerの報告に注目してください。

 今回のメールに書いたことがみなさんや読者のみなさんにとって有用な情報であれば幸いです。このメールリストから除外して欲しい方は、いつでも私にお知らせください。そうでなければ、またご連絡させていただきます。これからもよろしくお願いします。

 Salesforce.comは株式を公開したので、同社のCEO、Marc Benioffはいつものように気軽には話をしなくなった。Clevelandの宣戦布告に対抗してBenioffも出てくるだろうか。

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