情報処理推進機構(IPA、藤原 武平太理事長)は7月6日、05年6月および05年上半期(1-6月)のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況を発表した。
6月のコンピュータウイルス届出件数は4928件で、5月の5021件から若干減少した。ただ、ウイルスの検出数は約385万個と、5月の約355万個から8.5%の増加となった。検出数は、1122件の届出が寄せられた「W32/Netsky」が16か月連続でワースト1位。以下、急増している 「W32/Mytob」699件、「W32/Mydoom」352件、「W32/Bagle」316件と続く。
ワースト2位の「W32/Mytob」は、出現から4か月余りの期間に70種類を超える亜種が発生。システム管理者からのメールを装う巧妙な手口で感染を拡大させる新たなタイプの亜種も登場した。このように亜種が短期間に多数発生することは、ウイルスの感染の拡大・蔓延につながる可能性が大きいため、「安易に添付ファイルを開かないなどの対策を徹底し、注意を払うことが必要」と指摘している。
6月の不正アクセス届出件数は24件で、5月の94件から約75%減少した。しかし被害件数は22件と、5月の11件から倍増した。被害届出の内訳は、侵入10件、メール不正中継2件、ワーム感染3件、DoS4件、アドレス詐称1件、その他(被害あり)2件。
侵入10件のうちには、Webサーバーに侵入されWebコンテンツを改ざんされたという被害事例が5件あり、利用者がホームページを閲覧しただけでウイルスに感染する仕組みを埋め込まれていた事例が、5月に引き続き、2件あった。
また、「Winny」に代表されるファイル交換ソフトによる情報漏えいがたびたび発生していることについて、「Winny」を悪用する「W32/Antinny」ウイルスがファイル交換ネットワークを通じて感染を拡大させていることが原因と指摘。ファイル交換ソフト利用者に対し、通常のウイルス対策に加え、ファイル交換ソフトの使用について問題点がないか確認すること推奨している。05年上半期のコンピュータウイルス届出件数は2万8265件で、03年から続いていた増加傾向にストップがかかり、若干の減少となった。
また、05年上半期の不正アクセスの届出件数は合計319件となり、届出総数は約18%の増加、被害件数は約2.5倍の増加となった。IPAでは、最近の傾向として、(1)個人ユーザーのPCを含め、あらゆるコンピュータへの無差別な攻撃が多い、(2)Web アプリケーションの脆弱性を突かれた侵入被害が増えつつある――と分析している。