Microsoftは米国時間5日、ウイルス作者がターゲットにする新しいスクリプト作成ツールが、次期Windowsクライアントの「Windows Vista」には搭載されないことを明らかにした。
Microsoftの関係者によると、同社は主力サーバOSの次期リリースの一部として、このコマンドラインのシェルツール(開発コード名:「Monad」)を投入する可能性を模索しているという。同サーバOS(開発コード名:「Longhorn Server」)は2007年に発売が予定されている。
MicrosoftのStephen Toulouse(同社セキュリティグループ・プログラムマネージャ)は、「MonadはWindows Vistaの正式版には搭載されない。したがって、これらの潜在的ウイルスはWindows Vistaに影響しない」とブログに書き込んでいる。
Microsoftが言及しているのは、ネットで公表されたMonadをターゲットとする5つのサンプルコードのことだが、同社は当初MonadをVistaに含めるつもりでいた。そのため、エクスプロイトコード登場のニュースが流れると、これがWindows Vista初のウイルスにつながる可能性が報じられた。
Microsoftは今回の発表で、これまで「Longhorn」と呼ばれていた同OSの次期クライアント版がMonadウイルスの影響を受けないことを明言した。
Monad(別名「MSH」)は、現行バージョンのWindowsが搭載するシンプルなコマンドシェルの代替版。コマンドシェルの場合、ユーザーはWindowsの前身であるDOSのようにテキストベースのコマンドを入力してPCを操作する。だが、UnixのBashなどの競合シェルと 同様に、機能はMonadの方がはるかに豊富だ。
Microsoftは4日、Monadはテスターに提供されているが、先週リリースされたVistaの最初のベータには含まれていない、と述べていた。ただし、同社はその際、Windowsのコマンドラインシェルの配布方法については具体的な詳細が明らかでないとし、今後登場するVistaのテストバージョンには搭載される可能性があるとの含みを残した。だが、5日の発表によってVistaへのMonad搭載をめぐる混乱は沈静化した。
Toulouseがブログに書き込む前の4日には、Windows Vista初のウイルス登場の可能性を示唆したセキュリティベンダー、F-Secureを非難するコメントを、Microsoftの開発者が別のブログに書き込んでいた。Monad開発チームのLee Holmesは、「これは誤解を招く見出しだ。この問題がどのOSにも影響するウイルスの感染に使われるかのような印象を与える」と記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ