Salesforce.comが、大企業顧客の間でプレゼンスを高めるための取り組みを2つ発表した。大企業顧客の獲得は、同社が将来の成長に向けて掲げているゴールの1つである。
オンデマンドCRMを専門とするSalesforceは米国時間17日、四半期決算を発表し、売上/利益がともに前年同期と比べて大幅に増加したと報告した。また同社はその席上で、自社のサービスを支える技術インフラを強化し、Webサービス機能を拡大させる2つのプロジェクトについて詳細を説明した。
1つ目の取り組みである「Mirrorforce」は、5000万ドルを投じて行われる同社データセンター拡大の一環として行われる。同社のデータセンターでは現在、Salesforceのオンラインアプリケーションが稼働するほか、顧客から預かった全ての情報が保管されている。Mirrorforceにおいて、Salesforceは、米国の東海岸と西海岸にデータセンターを新設し、シリコンバレーにある既存の施設を補う計画である。新しいデータセンターの具体的な建設予定地は、明らかにされていない。
また、Salesforceは、新製品の開発をサポートとするための4番目のデータセンターを西海岸に建設される予定である。
Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioffによると、同社では、処理やデータのリアルタイムなフェールオーバーを実現するため、データセンターを増設する必要があったという。企業顧客の間でもフェールオーバー機能を提供して欲しいという声が上がっていたと、Benioffは述べる。Salesforceはこれまで、Sungardの技術やサービスを利用して、自社アプリケーションをバックアップしてきた。Benioffは、こうした機能を自社で実装すれば、素早い対応が可能になると考えている。
新しいデータセンターは、Salesforceで稼働中のシステムに保管された顧客のでータをリアルタイムで複製し、バックアップするシステムとして機能する。
「データセンターに致命的な問題が発生した場合に備えて、企業ユーザーは、このような即時性の高いフェールセーフ機能の提供を望んでいる」とBenioffは述べた。「われわれが、このような機能を備えるのも、企業ユーザーとの契約が増えているためだ。大企業は、1つ上を行くデータ保護機能の提供をわれわれに望んでいる」(Benioff)
決算報告の一部として、Salesforceは、Aon、CIT Group、Citizens Financial Groupを含む、大規模企業との新たな契約を発表した。
Benioffによると、Salesforceでは、新施設の建設に必要なハードウェアやソフトウェアの受け取りは済ませているという。新施設は、Salesforceがツールの新バージョン「Winter '06」を発表する2006年2月末までに稼働開始する予定だ。
同社が発表した2つ目の取り組みは、複数の楽曲をリミックスして別の楽曲を作り出す「マッシュ・アップ」を連想させる「Smashforce」というサービスだ。
Smashforceは、AJAX技術を使って構築された複数のソフトウェア開発支援ツールで構成される。「Multiforce」のユーザーは、同サービスを利用して、同一のデータやユーザーインターフェースを共用する複数のWebサービスを作成することができる。AJAX(Asynchronous JavaScript and XML)技術を使うことにより、プログラムは、ウェブベースのリクエストをより速く処理できるようになると同社は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ