それでもHilfは、「こうした話し合いをしたことは、むだではなかった」と述べている。MicrosoftはソフトウェアをWindows上で稼動させているユーザーをサポートしていきたいと望んでおり、両社の交渉の結果はそうした展望に添うものとなった。JBossとの提携契約は、「異なるタイプのビジネスや開発モデルがWindows上で共存できることを、これまでで最も明らかに示す事例となるだろう」と、Hilfは話した。
以前はIBMでLinux担当役員を務めていたHilfは、1年以上も前からJBossの設立者Marc Fleuryと会合を重ね、提携契約を詰めてきた。Hilfによると、話がより本格化したのは、今年8月に開催された「LinuxWorld Conference and Expo」においてであったという。
JBossのソフトウェアの大半は、Free Software Foundationが策定したLGPL(Lesser General Public License)に準拠している。同系列のライセンスであるGNU GPL (General Public License)と同様に、LGPLの下では、更新を公開して配布さえすれば、JBossソフトウェアおよび基礎となるソースコードの閲覧/修正/再配布を自由に行える。LGPLがGPLと異なるのは、プロプライエタリコードを利用しているソフトウェアにLGPLコードを緊密に組み込むことが可能な点だ。
一部の企業は、今回の提携が特に次のような分野で互換性向上に役立つと期待している。
• Microsoftの「Active Directory」(企業が所有するソフトウェアで統合的なサインオンが実現され、連携アイデンティティ管理システムも利用できるようになる)
• ゆるやかに連係しているサーバ上の利用可能なサービスをアプリケーションがどのように利用するかを決定する、Webサービス標準
• 「Microsoft Operations Manager」を利用した管理
• Microsoftのデータベースソフトウェア「SQL Server」とJBossの「Hibernate and Enterprise JavaBeans」ソフトウェア
本契約では金銭的なやり取りは行われないが、両社とも多数の開発者を共同作業に充当する予定だと、Hilfは説明した。提携の成果は、今年中にも現れ始めると考えられている。
この発表は、MicrosoftおよびJBoss双方の競合社であるBEA Systemsが主催する「BEA World」の初日に行われた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ