Dellは10月31日、同社CEOであるKevin Rollins氏の来日に合わせ、エンタープライズ事業の戦略説明会を開催した。Dellはデスクトップ分野においては高いシェアを確保しているが、エンタープライズ分野は発展途上にある。Rollins氏はこの分野を拡大することで、「Dellの現在の売上高は490億ドルだが、2009年には売上高800億ドルを目指す。このうち、デスクトップ分野以外での売上は65%を占めることになる」と具体的な数値目標を掲げた。
Rollins氏はまず、エンタープライズ事業の現状を説明した。Dellの同分野におけるこれまでの総売上高は、サーバおよびストレージ製品において350億ドル、エンタープライズサービスにおいて120億ドルとなっている。特に2005年第1四半期においては、サービス分野の四半期ごとの売上が初めて10億ドルを超えた。Rollins氏は、「これらのエンタープライズ向け製品やサービスは、10年前のDellにはなかったものだ。それがここまでの成長を遂げたことは大きな意味を持つ」とし、同分野が順調に成長していることをアピールした。
![]() Dell CEOのRollins氏。2009年には売上高800億ドルを目指す。 |
Rollins氏は、2005年第2四半期の業績についても説明し、サーバの出荷台数が前年同期比25%増となったことや、ストレージの売上高が26%増となったことなどを述べた。特に日本では、第2四半期のx86サーバの出荷台数においてシェア1位を獲得しており、日本法人の代表取締役社長を務める浜田宏氏は、「2005年は通年でもシェア1位を目指したい」とした。
Rollins氏によると、第2四半期において特に成長が大きかったのはエンタープライズサービスで、売上は前年同期比41%増となった。これは、同社がシステム導入前のコンサルティングから実際の運用、保守までをトータルに提供する「デル・プロフェッショナル・サービス」(DPS)の成長が大きく貢献しているという。
DPSの他にもDellでは、障害が起きた場合、迅速に問題解決することを目的としたサポートセンター「ECC(Enterprise Command Center)」を立ち上げたほか、企業におけるクライアントPCの導入からリプレイスおよび廃棄までをサポートする「デル・マネジド・サービス」も提供している。また、ミッションクリティカル分野の複雑なサービスを提供できるよう、現行のサポートサービスメニュー「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」に加えて「プラチナ」を用意し、24時間年中無休のサポートやエンジニアへの直通電話番号の公開などを開始した。今後も同社では、こうしたサービスメニューの拡大を目指す。
Rollins氏は、同社のエンタープライズサービス戦略では「顧客ニーズを最重要視している」と強調した。「われわれの提供するサービスのゴールは、企業の中でIT担当者の力を最大限に引き出すことだ」とRollins氏。また浜田氏は、「他社ではメインフレームなどの独自技術を含めたサービスを提供しているが、われわれは標準技術に準拠したサービスにコミットすることで、顧客に効率的なサービスを提供する」とした。