日本IBM、SOA環境を診断し発生する問題を解決するTivoliブランド新製品を発表

山下竜大(編集部)

2005-11-01 08:50

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は10月31日、SOA環境で動作するコンポジット(複合)アプリケーションを効率的に管理し、システム上で発生する問題を早期に発見し修復することで、アプリケーションの可用性とパフォーマンスの向上を実現することを目的に、3種類のTivoliブランド新製品を発表した。

 コンポジットアプリケーションは異機種混在のシステム環境において、さまざまなコンポーネントを柔軟に組み合わせることで実現されるアプリケーション。例えば販売管理のシステムでは、「商品の注文」「与信審査」「在庫引き当て」「発送」といったそれぞれの“サービス”をコンポジットアプリケーションの組み合わせで構築することで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるSOA対応システムを実現できる。

 このコンポジットアプリケーションは、SOA環境を実現するための有効な手段の1つとして注目されているが、運用管理における解決すべき課題も残されていた。

日本IBM ソフトウェア事業 Tivoli事業部長、日野義久氏

 コンポジットアプリケーションが抱える課題について日本IBM ソフトウェア事業 Tivoli事業部長の日野義久氏は、「従来のコンポジットアプリケーションを管理するためには、プラットフォームやシステムごとの縦割りの管理手法やツールでは、問題に対処することが難しく、高いパフォーマンスと可用性を維持することができなかった」と話す。

 そこでIBMでは、コンポジットアプリケーション管理を「ITリソース監視」「トランザクション監視」「アプリケーション監視」の3つのレイヤーで実現する。

 ITリソース監視は、いわゆる従来のシステム監視を実現するレイヤーで、SOA環境においてはアプリケーションサーバなどに発生する問題に対応する。またトランザクション監視では、一連のビジネスプロセスにおけるトランザクションに対し、パフォーマンスやサービスレベルなどの問題に対応。さらにアプリケーション監視では、コンポジットアプリケーションに対するより深い問題分析能力を提供する。

 この3つのレイヤーの監視を行うための製品が、「Tivoli Composite Application Manager」であり、今回「IBM Tivoli Composite Application Manager for Response Time Tracking」「IBM Tivoli Composite Application Manager for WebSphere」「IBM Tivoli Composite Application Manager for SOA」の3製品が発表されている。

 IBM Tivoli Composite Application Manager for Response Time Trackingは、エンドユーザーが体感するレスポンスタイムを監視し、レスポンスに問題が発生した場合には、問題が発生しているコンポーネントを特定。トランザクションの流れをJ2EE環境からCICSやIMS環境まで追跡可能にする。同製品はすでに出荷が開始されており、価格は管理対象サーバ1プロセッサあたり97万9600円となる。

 また、IBM Tivoli Composite Application Manager for WebSphereは、J2EEアプリケーションのパフォーマンス問題を検出し、分析、修復するための診断やレポートの出力により問題解決を支援。J2EEからCICS、IMS環境まで、複合トランザクションのパフォーマンス管理をサポートする。出荷の開始は2005年11月18日を予定。価格は管理対象サーバ1プロセッサあたり162万円となる。

 さらに、IBM Tivoli Composite Application Manager for SOAは、SOA環境において最も多くの時間やりソースを費やし、ボトルネックとなっているサービスを検知し、監視、診断。Rational製品と組み合わせることで、、Webサービスのトポロジー、パターン、フローをテストすることができる。これにより、効率的なアプリケーションチューニングを実現し、開発の生産性や品質を向上することができる。出荷の開始は2005年12月16日を予定(ただし英語版のみ。日本語版は2006年を予定)。価格は、管理対象サーバ1プロセッサあたり79万円となる。

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