Intelは11月8日、シニアフェローでコーポレートテクノロジー統括本部長のジャスティン・ラトナー氏の来日に伴い、同社の研究活動について説明会を開催した。
ラトナー氏はまず65ナノメートルプロセス技術について説明し、「2006年の第3四半期には半導体生産の半分以上が65ナノメートルとなる」と述べた。また、このトランジスタにはひずみシリコンが使われているため、デバイス性能が大幅に向上するとしている。
デジタルマルチラジオ分野においては、複数のネットワークに対応する柔軟なトランシーバを実現すべく研究している。Intel Developer Forumでは、プロセスシステムの中に90ナノメートルのCMOS Wi-Fiトランシーバが入ったパッケージを公開したが、2006年2月に開催予定のInternational Solid-State Circuits Conferenceでは次世代マルチラジオの詳細を発表する予定だ。Intelでは、すべてのシリコンに無線技術を統合し、無線プラットフォームを開発することでユビキタスなワイヤレス通信を実現する「Radio Free Intel」構想を発表しているが、ラトナー氏は「この構想に徐々に近づいている」と述べた。
- Intelシニアフェローのラトナー氏。R&Dの現状を説明した。
またIntelでは、モノやヒトを認識するプラットフォームの研究も行っている。この研究により、「電波ビーコンの信号強度や電波の到達時間によって、デバイスの位置が認識できるようになる」とラトナー氏。また、こうしたデバイスを衣服に取り付け、加速度や方向、音声、光、温度気圧などを認識することで、「その人物が何をしているのか、行動が推測できるようになる」とラトナー氏は言う。初期の実験結果では、90%以上の精度で15種類の行動を検出した。こうしたプラットフォームを提供することで、「ヒトの行動からコンテキストが与えられる。また、医療分野への応用も考えられる」とラトナー氏は述べている。
ひとつのプロセッサに複数のコアを採用する「メニーコア」(マルチコア)については、「現在デュアルコアの出荷が始まっているが、半年後にはIntelのプロセッサはすべてデュアルコアとなる。5〜10年後には、10コア、20コアが内蔵されるようになる」(ラトナー氏)と述べている。また、高度にスレッド化されたアプリケーションの開発が簡素化される「トランザクショナルメモリ」についても研究中だとした。