第18回 EAとICC(インテグレーションコンピテンシーセンター)

近藤 佳大(みずほ情報総研) 2005年11月21日 15時58分

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 エンタープライズアーキテクチャ(EA)を進める具体的な理由として、EA先進国の米国では、システム間の連携にITコストの多くが割かれ、経営戦略を実現するための新システムの開発に投資することが難しいという課題が指摘されている。システム間連携にかかるコストを下げ、市場の変化にあわせて柔軟に業務のやり方を変えていくためにEAが必要というわけである。

 また、システム間連携の視点から近年注目されているキーワードに、インテグレーションコンピテンシーセンター(ICC)がある。インテグレーションは統合(システム間を連携させて一体のシステムとして統合すること)を意味し、コンピテンシーはもともと能力を意味する言葉で高い業績を上げる人に共通する特性という意味で使われることが多い。したがってICCは「システム間連携において優れた成果を達成するための中心的組織」ということになる。企業はICCを設置すべきだというのである。

 このように類似した目的を持つEAとICCを比べてみると、EAは目的を達成するための手法に注目した言葉であることがわかる。業務とシステムのアーキテクチャをドキュメント化することによって課題を解決することをEAという言葉は表している。もちろん、EAはドキュメント化だけを意味しているわけではなく、作成したドキュメントに基づいて実際のシステムが構築されるように開発プロジェクトを統治する活動も極めて重要なEAの一部である。こうした活動を継続的に実施していくためにはICCのような専門の組織も必要となってくる。例えば、EAフレームワークのひとつであるTOGAF8では、第4部でアーキテクチャガバナンスのための組織構造について記述している。

 企業が最初にEAに取り組む際には、いきなり組織を作るのではなく、プロジェクトベースで活動することが一般的であり、望ましいと考えられる。しかしながら、プロジェクトの任務、責任範囲等について十分検討を行っておかなければ、EAプロジェクトは具体的な成果に結びつくことなく終わってしまう懸念が高くなる。ICCという機能、組織論的な考え方からEAプロジェクトが得るものは大きい。

 一方、ICCという言葉はシステム連携にコンピテント(有能)でありたいという目的を端的に表している。しかし、どのようにしてその目的を達するのかについては直接表現していない。したがって、ICCを実現しようと思えば、必然的にEAのような方法論が必要となってくる。ICCの機能には連携基盤システムの運用など一般的にEAには含まれない項目も存在する。しかしICCの活動をEA以外の項目から始めるならば、効果は限られたものになってしまい、企業にコンピタンスをもたらすことはない。ICCはまず、EAをいかに実施していくかから活動を開始すべきだと考えられる。

(システムコンサルティング部 近藤 佳大)

※本稿は、みずほ情報総研が2005年11月1日に発表したものです。

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