Microsoftが同社のウェブブラウザの処理手法を一部変更しようとしている。同社は現在、カリフォルニア大学が支援する新興企業と特許に関して争っているが、今回の処置はこの問題から生じる法的責任を回避するためのもの。
米国時間12月2日、Microsoftはウェブ開発者やパートナー企業に対し、「Internet Explorer(IE)」がActiveXコントロールおよびJavaアプレットなどのウェブプログラムを処理する方法を変更すると通達した。
今回の変更により、ウェブ開発者がウェブページに若干の修正を加えるか、あるいはユーザーが、例えばMacromedia「Flash」を利用した広告を閲覧する際などに何回か余計にクリックをする必要が生じる。
MicrosoftのWindowsクライアント部門ゼネラルマネージャMichael Wallentは「ユーザーエクスペリエンスに及ぼす影響は、比較的小さいと考えている」と話した。
新たなIEはこれから販売されるすべてのWindowsソフトウェアに搭載され、またWindows XP/Windows Server 2003および一部のWindows Vistaで利用可能となる次期ブラウザIE 7にも、同様の変更が加えられる。Wallentによれば、IEの既存ユーザーに対しても、今後のセキュリティアップデートを通して新しいコードが提供されるという。
「大半のユーザーが、半年ほどはこうしたスタイルでIEを利用することになるだろう」(Wallent)
Microsoftは、Eolas Techologiesおよびカリフォルニア大学と、長年にわたり係争状態にある。2005年9月には、米国特許庁がこの争いで問題となっている特許の有効性を認めている。
カリフォルニア大学の広報担当者は、Microsoftに対し提起した訴訟は、以前販売されていたIEのバージョンが特許を侵害したことに関わるものだと説明した。
「訴訟では、今回発表された修正が加えられる製品より前に販売されたものを対象としている」と、同広報担当者は述べている。
2003年、判事はMicrosoftに同大およびEolasに対して5億ドル以上の賠償金を支払うよう命じたが、同社はこれに控訴した。控訴裁判所は、MicrosoftがEolasの特許申請以前に同様の技術を開発していた証拠を提出できるよう考慮すべきだと主張し、同社を部分的に支持している。
「今回の変更が法的責任を追及される可能性を退けると信じており、これ以上の変更は必要ないと見ている」(Wallent)
Wallentは、Microsoftの取り組みは、2005年末にもEolas訴訟の続きが裁判所で行われることを受け、将来の不確実要素を排除するために計画されたものだとしている。
「訴訟で当社に有利な判決が出ない場合でも、このたび施した変更によって、法的責任を負う必要はなくなると確信している」(Wallent)
ただし、Microsoftの今回の取り組みは「勝訴に対する自信がないことを表すものでは決してない」と、Wallentは付け加えている。
「当社は引き続き訴訟に力を入れていく。Eolasの特許には妥当性がないと考えている」(Wallent)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ