「人類60億人のうち、インターネットユーザーは約6億人に過ぎない。つまり、全体の10%にしかIT技術が浸透していないということだ。次の10%にリーチするためには、今までの考え方を変える必要がある」。インテルは12月20日、同社事業開発本部の取り組みについて説明会を開催し、事業開発本部 本部長の宗像義恵氏がこのように述べた。
「インテルでは、モノを売らない営業マンが潜在ニーズを掘り起こそうと活動している。ユーザーをあと6億人増やすには、いつでもどこでも誰でもが、こうした技術の恩恵を受けられる社会でなくてはならない」(宗像氏)
事業開発本部のカスタマーソリューショングループ(CSG)では、まさに宗像氏の言う「販売以外の営業活動」を実施している。CSGの主な役割は新たな需要を生み出すことで、コンピュータの使い方や使う場所を増やすことに注力している。
その成果として2005年に発表したのが、つくばエクスプレスにて列車内や駅構内での無線LAN環境を整備したことや、産能大学湘南キャンパス内における無線LANネットワークとノートPCの効果的活用方法および運用モデルの実証実験、ハイアット・リージェンシー・オーサカでの「無線LANによるMobile IP Centrexプロジェクト」などだ。
新規需要を追求するため、同社では業界別にソリューションを提供する専属チームが存在するが、2005年は新たにデジタルホームとデジタルヘルス分野の専属部隊を設置した。中でもデジタルヘルス部門は、2006年における注力分野のひとつだ。
宗像氏は、ヘルスケア分野の潜在的需要が非常に高いと見ている。現在の医療機関においては、十分にITが活用されている状況とは言えないからだ。例えば、緊急を要しない持病で定期健診のために病院に行くよりも、常に身につけているアクセサリーなどで血圧や血糖値が自動的に常時監視されていれば、問題が起こりうる状況になった際にアラートを送ることもできる。こうした常時監視システムを利用すれば、個人の負担削減や病院の効率化につながる。
「高齢化社会はすぐにやってくる。20年後、自分が病気と無関係とは言えなくなった時には、何とかこうした技術が活用され、病院に行かなくても自分の健康状態がわかるような世の中になっていてほしい」(宗像氏)
他にも、シリコンの検査技術を活用し、画像解析によってガン細胞を発見するといった技術の活用法も可能だと宗像氏は述べ、今後もインテルとして積極的に医療分野に貢献していきたいとした。