エクストリーム ネットワークスは1月18日、2006年の戦略発表会を開催した。同社 代表取締役社長の井戸直樹氏は、データ用に使われるネットワークや音声ネットワーク、また動画や音楽配信などのエンターテインメントネットワークといった、異なる3種類のネットワークを統合する「オープン・コンバージド・ネットワーク」を今後も推進するとあらためて強調した。
井戸氏は、オープン・コンバージド・ネットワークを実現するために、「ネットワークを集約する機能を持ったネットワークハードウェアと、アプリケーションとネットワーク間のリソースや動作を仲介するOSを提供し、その上でワイヤレスLANやVoIP、セキュリティなどの技術にフォーカスしたソリューションを提供する」と述べた。
中でも同社が今後の重点投資項目のひとつとして挙げているのが、ネットワークOSの「ExtremeXOS」だ。以前ExtremeWareと呼ばれていたOSに改良を加えた新OSには、アプリケーションにあわせたネットワークの状態を検査するセキュリティルールエンジンや、レイヤ3のバーチャルスイッチ、XMLのAPIを利用して作られたネットワークモジュール、ネットワークのアクセスコントロール機能などが備わっている。
また同社では、セキュリティにもフォーカスするとしている。井戸氏によると同社のセキュリティ製品の特長は、他社製品のようにシグネチャベースではなく、ネットワーク全体の振る舞いを監視した上でアクションを起こす点だ。万が一ウイルス感染などが発生した場合にも、疑わしいエリアを切り離し包囲するため、ネットワーク運用には影響を与えない。「こうした独自技術に注力することで、他社との差別化を図る」と井戸氏は述べている。
日本においては、「2005年はネットワーク市場も低迷し、われわれにとってあまり良い1年ではなかった」と井戸氏。しかし、「景気は回復基調にあり、2006年は既存製品の入れ替え需要も活発になることが予想される」としている。特に、QoS(通信速度を保証する技術)つきのレイヤ3スイッチや、PoE、VoIPといった分野で需要が拡大すると同氏は見ている。
そのため同社では、販売戦略を強化する。エンタープライズ市場に向け、チャネル販売網を整備するほか、チャネルプログラムの拡充やソリューションアライアンスの強化を図る。ソリューションアライアンスに関しては、「2005年度に引き続きセキュリティ分野のアライアンスを拡大すると共に、VoIPやワイヤレス関連でもアライアンスを組みたい」(井戸氏)としている。また、ソリューションショールームを新設し、顧客のアプリケーションに合わせたテストや評価を実施する。
井戸氏は、「ローエンド製品の価格競争には巻き込まれたくない。今後もエクストリームでは、セキュリティやコンバージドネットワークなどの得意分野で勝負に挑む。特にセキュリティは、シスコシステムズなどの大手も立派な構想を打ち出しているが、製品として完成していない。われわれはすでに顧客に提供できるセキュリティソリューションを抱えており、今後もこうした分野で多くの事例を作っていきたい」と語った。